アセトアミノフェンによるStevens-Johnson症候群
2016年11月掲載
薬剤 | アセトアミノフェン中枢神経用薬 |
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副作用 | Stevens-Johnson症候群 |
概要 | 9歳、女児。発熱、咽頭痛にてクラリスロマイシン、アセトアミノフェンを内服した。同日より口腔粘膜疹、結膜充血、翌日より全身の紅斑が生じた。近医にてプレドニゾロンの内服を開始されるも皮疹の拡大、呼吸状態の悪化、39℃台の発熱を認めたため、当院紹介受診した。初診時、頬粘膜、口唇の潰瘍、結膜充血、多発融合する環状紅斑に加え、全身に水疱、びらんがあり、体表面積の8%を占めていた。臨床、病理所見から、Stevens-Johnson症候群(SJS)と診断した。ステロイドパルス療法、血漿交換療法を施行により、皮膚症状は軽快したが、瞼球癒着が残存した。入院時気胸を伴う肺炎像を認め、DLSTでアセトアミノフェンが陽性であったことより、薬剤性SJSと診断し、肺病変はSJSで生じる急性呼吸器障害と考えた。 |
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SJSは主に薬剤が原因で、表皮や粘膜の壊死性障害をきたし、発熱、全身の皮膚と粘膜に広がる紅斑や水疱・びらんを形成する疾患である。時に上気道粘膜や消化管粘膜を侵し、呼吸器症状や消化器症状を併発することがある。本症例のように、表皮脱落が急速に拡大する場合は、特に重篤な呼吸障害の合併に注意が必要である。アセトアミノフェンのような日常診療で頻繁に処方される薬剤であっても、本症例のような重篤な副作用を生じる可能性があることに注意する必要がある。
- 著者(発表者)
- 田中諒ほか
- 所属施設名
- 国立成育医療研究センター皮膚科ほか
- 表題(演題)
- アセトアミノフェンによるStevens-Johnson症候群:肺病変を併発した1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本小児皮膚科学会雑誌 35(2) 87-91 (2016.6)
第846回 日本皮膚科学会東京地方会
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