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レノグラスチムによる脾破裂

2016年10月掲載

薬剤 レノグラスチム血液・体液用薬
副作用 脾破裂
概要 59歳、女性。軽鎖沈着症(LCDD)と診断され、自家造血幹細胞移植(ASCT)を前提としたBd療法を行いPRとなった。その後、G‐CSF(レノグラスチム)で自家末梢血幹細胞を合併症なく採取できた。メルファラン併用ASCTを施行し、3日目よりレノグラスチムを投与開始した。7日目に腹痛、発熱、血圧低下、貧血が出現し、脾破裂による出血性ショックと診断した。脾動脈近位に塞栓術を施行し、全身状態は改善した。

監修者コメント

顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤であるレノグラスチム(ノイトロジン®)は、造血幹細胞移植時やがん化学療法による好中球減少症などに対して、好中球数の増加促進を目的に使用されている。本症例では、極めて稀な疾患であるLCDDに対するASCTの後にG-CSFを投与したところ、自然脾破裂を発症した。本症例では脾腫を合併しておらず、脾破裂の原因は不明であるが、G-CSF投与やLCDDによる脾動脈への軽鎖沈着などが関与している可能性が考えられた。脾破裂は稀ではあるが、生命に関わる重篤な合併症であり、G-CSF投与後に急性腹症を認めた際は、本副作用の可能性も考慮する必要がある。

著者(発表者)
土師正二郎ほか
所属施設名
飯塚病院血液内科ほか
表題(演題)
自家末梢血幹細胞移植後に自然脾破裂を合併した軽鎖沈着症
雑誌名(学会名)
臨床血液 57(6) 754-759 (2016.6)

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