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リネゾリドによる末梢神経障害

2016年9月掲載

薬剤 リネゾリド化学療法剤
副作用 末梢神経障害
概要 40歳代、男性。拡張型心筋症急性増悪により体外式左室補助人工心臓(LVAD)が装着されICUでの管理が続いていた。LVAD挿入部皮下に炎症所見が遷延し、術後3ヵ月後に血液培養からMRSAが検出され、リネゾリド投与が開始された。開始約5ヵ月後より両下肢の倦怠感、しびれ感等の中枢神経障害が出現し、神経障害性疼痛を発症した。緩和治療チームにより薬物療法と認知行動療法を行い、痛み、しびれの改善とともにADLの改善も達成できた。

監修者コメント

リネゾリド(ザイボックス®)は、オキサゾリジノン系合成抗菌薬の一種で、MRSA感染症に対する抗菌薬として使用されることが多い。本症例では、MRSA感染症に対するリネゾリドの投与により、末梢神経障害を発症したことが疑われた。本剤の使用時にしびれ感などの末梢神経障害を認めた際には、頻度は少ないものの、本剤による副作用を考え、適切な処置を行う必要がある。

著者(発表者)
穂積淳ほか
所属施設名
東京大学医学部附属病院麻酔科・痛みセンターほか
表題(演題)
左心補助人工心臓装着中のリネゾリド投与で末梢神経障害が疑われた1症例
雑誌名(学会名)
ペインクリニック 37(6) 783-785 (2016.6)

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