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リトドリン塩酸塩による無顆粒球症

2016年9月掲載

薬剤 リトドリン塩酸塩泌尿生殖器官及び肛門用薬
副作用 無顆粒球症
概要 24歳、女性。近医で頸管長短縮を認めたため、妊娠18週で当科入院となった。子宮収縮に対してリトドリン塩酸塩の持続投与を施行していたが、入院後第22病日に白血球数2,300/μL(好中球数950/μL)まで減少したため、リトドリン塩酸塩による有害事象と判断し投与を中止した。第23病日には白血球数2,000/μL(好中球数140/μL)となり無顆粒球症と診断した。G-CSF製剤を3日間投与し、第27病日に白血球数18,600/μL(好中球数4,836/μL)まで回復した。

監修者コメント

リトドリン塩酸塩は選択的β2受容体刺激作用により子宮収縮を抑制するため、切迫流・早産の治療薬として広く用いられている。本症例では、リトドリン塩酸塩の投与により、無顆粒球症を発症した。添付文書にも、本剤の継続投与によって、白血球減少や無顆粒球症を発症することがあるため、定期的な血液検査を行うように記載されている。切迫流・早産に対して本剤を継続的に使用する際には、無顆粒球症の発症も念頭に入れ、最低週1回の血液検査は行う必要があると考えられる。

著者(発表者)
寺岡有子ほか
所属施設名
JA廣島総合病院産婦人科ほか
表題(演題)
塩酸リトドリン投与により無顆粒球症を来した1例
雑誌名(学会名)
現代産婦人科 64(2) 263-267 (2015.5)

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