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ニボルマブによる劇症1型糖尿病

2016年9月掲載

薬剤 ニボルマブ腫瘍用薬
副作用 劇症1型糖尿病
概要 74歳、女性。鼻出血と眼球運動障害のため紹介受診となった。悪性メラノーマの診断に至り、免疫療法およびサイバーナイフを施行したが、症状が強くニボルマブを使用した。約5ヵ月が経過した後、突然の口渇感と嘔気が出現した。来院時、高血糖による代謝性アシドーシスを認め、糖尿病性ケトアシドーシスと診断した。インスリン分泌能は枯渇していたが、前医でも高血糖はなく、HbA1c(NGSP値) 8.0%および膵島関連抗体が陰性であったことから劇症1型糖尿病と診断した。

監修者コメント

抗PD-1抗体のニボルマブ(オプジーボ®)は、免疫チェックポイント阻害剤であり、抗原特異的なT細胞を活性化することで抗腫瘍効果を示す。本症例では、鼻腔メラノーマに対してニボルマブを投与したところ、糖尿病性ケトアシドーシスを発症した。これまでに糖尿病の指摘がなく、検査所見などからも劇症1型糖尿病によるものと考えられる。2016年4月の医薬品医療機器等安全性情報(No. 332)おいても本剤による劇症1型糖尿病の副作用について注意喚起がされている。本剤の投与中に口渇、悪心、嘔吐などの症状や血糖値の上昇などを認めた際には、劇症1型糖尿病の発症を念頭に置き、適切に対処することが重要である。

著者(発表者)
渡邉怜奈ほか
所属施設名
東邦大学医療センター佐倉病院糖尿病・内分泌・代謝センター
表題(演題)
抗PD-1抗体使用後に劇症1型糖尿病を発症した一例
雑誌名(学会名)
糖尿病 59(S-1) S201 (2016.4)
第59回 日本糖尿病学会年次学術集会 (2016.5.19-21)

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