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アルテプラーゼによる口舌血管浮腫

2016年9月掲載

薬剤 アルテプラーゼその他の代謝性医薬品
副作用 口舌血管浮腫
概要 69歳、男性。心房細動と高血圧のためワルファリンおよびアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤を内服中であった。突然の左片麻痺と左同名半盲を生じ、当院に搬送された。頭部MRIで右後大脳動脈領域に新鮮梗塞、MRAで右後大脳動脈閉塞を認めた。心原性脳塞栓と診断し、アルテプラーゼ静注を行った。投与開始1時間25分後に左頬と舌腫脹が出現し、呼吸困難を来たした。メチルプレドニゾロン静注し、気管切開を考慮したが回避することができた。

監修者コメント

遺伝子組み換え組織型プラスミノーゲン活性化因子(recombinant tissue-type plasminogen activator: rt-PA)製剤であるアルテプラーゼは、形成された血栓を溶解する薬剤であり、脳梗塞や心筋梗塞の急性期の治療に使用されている。副作用として、脳出血などの重大な合併症を引き起こすことが報告されている。本症例では、ACE阻害剤内服中の脳梗塞患者に対してアルテプラーゼの静注療法を施行したところ、著明な血管浮腫による口舌の腫脹により呼吸困難を呈した。添付文書にもACE阻害剤内服中の患者に本剤を投与すると、口舌血管浮腫が発症することが記載されている。ACE阻害剤内服中の患者に本剤を投与する際は、特に口腔内の出血の有無を確認し、出血が認められた場合は同部位の血管浮腫に十分に注意する必要がある。

著者(発表者)
佐野正和ほか
所属施設名
新潟県立新発田病院脳神経外科
表題(演題)
アルテプラーゼ静注直後の口舌血管浮腫
雑誌名(学会名)
脳卒中 38(3) 173-175 (2016.5)

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