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防風通聖散による薬剤性肺炎

2013年3月掲載

薬剤 防風通聖散一般用医薬品
副作用 薬剤性肺炎
概要 66歳、女性。市販の防風通聖散を購入、定期内服2週後頃から37℃前後の発熱、湿性咳嗽認め、3週後に38.6℃の発熱と呼吸苦出現、近医受診後、呼吸状態不良のため救急外来受診、肺炎像認め緊急入院した。細菌性肺炎を疑い抗菌薬による治療を開始したが呼吸状態は急激に悪化、集中治療管理を行うも急性呼吸窮迫症候群に至った。入院第5病日にBALF所見と経過から防風通聖散による薬剤性肺炎と判断、ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1,000mg)を3日間施行、維持療法としてプレドニゾロン(PSL)60mgを開始した。以後、症状、所見は著明に改善、PSL漸減、退院後フォローしてPSL中止し、その後の再発は認めていない。市販の防風通聖散を用いPSL20mg内服下で施行したDLSTでS.I.395%、後日施行した同市販薬、同処方薬およびオウゴンの再検でもそれぞれ陽性であった。本例ではChlamydia pnuemoniae IgM抗体の有意な上昇およびPCT陽性を認めたことから、薬剤性肺炎を発症する前後に Chlamydia pnuemoniaeに感染していたことも考えられ、本例を重症化させた原因と推測した。

監修者コメント

著者は考察で、近年のダイエットブームにより一般用防風通聖散の服用が広がり、一般用医薬品の漢方薬でも重篤副作用が発現する可能性があることを認識する必要があること、消費者への適正使用の啓発が重要であることを強調している。なお、本剤の添付文書副作用の項、重大な副作用の1)に間質性肺炎が記載され、注意が喚起されている。

著者(発表者)
森田沙斗武ほか
所属施設名
市立豊中病院呼吸器内科ほか
表題(演題)
一般用医薬品の防風通聖散による薬剤性肺炎の1例
雑誌名(学会名)
気管支学 34(6) 558-563 (2012.12)

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