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カルバマゼピンによる重症薬疹

2016年8月掲載

薬剤 カルバマゼピン中枢神経用薬
副作用 重症薬疹
概要 15歳、男性。側頭葉てんかんと診断されカルバマゼピン(CBZ)が投与された。内服3週間後から発熱が出現し、4週間後には皮疹が出現し、眼瞼結膜充血、軟口蓋の点状出血、頸部・鼠径部リンパ節腫脹も認められた。CBZの内服を中止し、プレドニゾロンの全身投与を開始したところ、症状は速やかに改善した。CBZに対するパッチテスト、リンパ球刺激試験が陽性となり、CBZによる重症薬疹と診断した。HLA遺伝子解析では日本人において重症薬疹発症との関連性が報告されているHLA-A*31:01を保有していた。

監修者コメント

抗てんかん薬であるCBZ(テグレトール®)は焦点性発作に対する第一選択薬として広く使用されているが、副作用として皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson syndrome; SJS)、中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis; TEN)および薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome; DIHS)などの重症薬疹が報告されている。重症薬疹は、発熱、粘膜症状、肝機能障害などの生命予後に関わる全身症状を伴い、重篤な後遺症を残す可能性があるため、十分な注意が必要である。近年、CBZによる重症薬疹発症リスクに関わる因子として、本症例においても認められたHLA-A*31:01が同定されており、重症薬疹の予測因子となる可能性がある。

著者(発表者)
五十嵐亮太ほか
所属施設名
産業医科大学小児科
表題(演題)
カルバマゼピンによる重症薬疹を発症したHLA-A*31:01保有症例
雑誌名(学会名)
日本小児科学会雑誌 120(4) 756-760 (2016.4)

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