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ニボルマブによる血球貪食症候群

2016年7月掲載

薬剤 ニボルマブ腫瘍用薬
副作用 血球貪食症候群
概要 79歳、女性。膣悪性黒色腫と診断され、当科を紹介受診した。外尿道口や膣管への浸潤も著明であり、切除不能例と判断した。ニボルマブを開始し、2回目までは発熱など副作用はなかったが、3回目投与5日後より39度を超える発熱がみられた。血液検査で2系統以上の血球減少、抗トリグリセリド血症、フェリチン高値sIL-2R高値などの所見があり、血球貪食症候群と診断した。

監修者コメント

免疫抑制受容体であるPD-1は活性化したT細胞に発現してT細胞の機能を抑制する。多くの癌細胞はPD-1リガンド(PD-L1)を発現することによって、PD-1を介して癌を攻撃するT細胞の機能を抑制するシグナルを送り、宿主の免疫監視機構から巧妙に逃れている。ヒト型抗PD-1モノクローナル抗体であるニボルマブ(オプジーボ®)はPD-L1とPD-1の結合を阻害することで、T細胞を再活性化させる薬剤であり、根治切除不能な悪性黒色腫に対して効果を示すことが報告されている。本症例では、本薬剤による免疫賦活化が高サイトカイン血症を誘導し、リンパ球やマクロファージが活性化されることで血球貪食症候群を発症した可能性が考えられる。

著者(発表者)
岡本真由美ほか
所属施設名
広島大学病院皮膚科ほか
表題(演題)
ニボルマブにより血球貪食症候群を生じた腟悪性黒色腫の1例
雑誌名(学会名)
日本皮膚科学会雑誌 126(5) 976 (2016.5)
第115回 日本皮膚科学会総会 (2016.6.3-5)

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