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クリゾチニブによる肺障害

2016年7月掲載

薬剤 クリゾチニブ腫瘍用薬
副作用 薬剤性肺障害
概要 49歳、男性。EML4-ALK陽性肺腺扁平上皮癌StageⅣの診断で、シスプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブを投与した。その後、増悪したため二次治療としてクリゾチニブの内服を開始した。67日後に低酸素血症と胸部CTで両側非区域性スリガラス陰影を認めた。クリゾチニブによる薬剤性肺障害を疑い、投与中止とステロイドパルス療法を行い改善した。

監修者コメント

EML4-ALK融合遺伝子は、非小細胞肺癌の約4%に認められ、この融合遺伝子から産出されるALK融合蛋白が肺癌の発生に重要な役割を果たしている。クリゾチニブ(ザーコリ®)はこの異常蛋白のチロシンキナーゼ活性を阻害することで細胞増殖を抑え、抗腫瘍効果を示す薬剤である。本薬剤は肺癌ガイドラインで非扁平上皮癌、ALK融合遺伝子陽性例の第一選択薬として推奨されており、今後使用機会が増えてくることが予想されている。重大な副作用として、本症例のような間質性肺炎が報告されており、本薬剤の使用時には薬剤性肺障害の出現に十分に注意する必要がある。

著者(発表者)
髙野友喜ほか
所属施設名
日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
表題(演題)
クリゾチニブによる薬剤性肺障害が疑われた1例
雑誌名(学会名)
呼吸と循環 64(4) 404-408 (2016.4)

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