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ベバシズマブによる急性硬膜下血腫

2016年6月掲載

薬剤 ベバシズマブ腫瘍用薬
副作用 急性硬膜下血腫
概要 46歳、女性。卵巣癌ⅢC期に対して根治術を施行。進行卵巣癌のため術後補助化学療法として、Paclitaxel・Carboplatin+Bevacizumab療法(TC+Bev療法)を施行した。6サイクル施行後(Bevacizumabは初回を除く5サイクル)、Bevacizumab単剤継続投与2サイクルを施行したところ、2日目に突然の頭痛が出現し、急性硬膜下血腫と診断された。入院を要したが頭痛以外の症状はないため、経過観察のみで1ヵ月後の頭部CT検査では急性硬膜下血腫は改善傾向にあり、頭痛等の症状は消失した。

監修者コメント

抗VEGFモノクローナル抗体であるBevacizumab(アバスチン®)は大腸癌、肺癌、乳癌などに対する化学療法に使用されている分子標的治療薬である。本症例では、卵巣癌術後のBevacizumab単剤継続投与中に急性硬膜下血腫を発症した。同薬剤に認められる血管退縮・血管新生阻害作用などが発症の原因となった可能性が考えられる。脳出血を合併すると致死的となることも多いため、同薬剤の投与中に頭痛やめまい、意識障害などの症状を認めた場合には、脳血管障害の合併も念頭におき、適切な対応をとる必要がある。

著者(発表者)
藤野一成ほか
所属施設名
順天堂大学産婦人科
表題(演題)
卵巣癌術後Bevacizumab単剤継続投与中に急性硬膜下血腫を発症した一例
雑誌名(学会名)
関東連合産科婦人科学会誌 53(1) 113-119 (2016.3)
第129回 関東連合産科婦人科学会総会・学術集会

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