バンコマイシンによる好中球減少、血小板減少
2016年6月掲載
薬剤 | バンコマイシン抗生物質製剤 |
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副作用 | 好中球減少、血小板減少 |
概要 | 47歳、男性。外傷性顔面神経麻痺が高度であったため、顔面神経減荷術、鼓室形成術を施行した。左側鼓膜部検体からMRSAが検出され、バンコマイシン(VCM)の1回1g、1日2回の点滴静注を開始した。Day3のVCM血中トラフ濃度は6.1µg/mLで推奨目標域(10-20µg/ mL)に達していなかったため、1日3回に変更した。増量後のVCM血中トラフ濃度は15.1㎍/mLで経過良好であった。ところがDay12に発熱、CRP上昇、好中球減少(505/µL)、血小板減少(8.7×104/µL)が認められた。同日よりVCMの投与を中止し、G-CSF製剤、ダプトマイシンの投与を開始した。その後解熱し、好中球数と血小板数は改善傾向を示した。 |
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VCMを投与する際、腎障害や聴覚障害などの副作用や耐性菌の出現を避けるため、薬物血中濃度モニタリング(TDM)に基づいて投与量や投与間隔を調整することが一般的となっている。「抗菌薬TDMガイドライン」におけるVCMの目標トラフ濃度は10-20µg/mLに設定されている。本症例では、VCMの投与により、好中球減少および血小板減少の副作用を発症したが、その血中濃度は推奨トラフ濃度域内であった。VCMの血中トラフ濃度が推奨目標域であっても、本症例のように副作用を発症する可能性があり、投与中は慎重な経過観察が必要である。
- 著者(発表者)
- 宮﨑元康ほか
- 所属施設名
- 福岡大学筑紫病院薬剤部ほか
- 表題(演題)
- バンコマイシン投与中に好中球減少および血小板減少を来した1例
- 雑誌名(学会名)
- 新薬と臨床 65(3) 347-351 (2016.3)
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