フィルグラスチムによる大動脈炎
2016年5月掲載
薬剤 | フィルグラスチム血液・体液用薬 |
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副作用 | 大動脈炎 |
概要 | 77歳、女性。卵管癌に対し化学療法(パクリタキセル+シスプラチン)施行開始3カ月後に著明な好中球減少を呈した。G-CSF製剤(フィルグラスチム)の投与により血球は回復したが、抗菌薬不応性の発熱、倦怠感が出現した。高度炎症所見を伴い、CTで両側総頚動脈および左鎖骨下動脈の壁肥厚が観察された。感染症や他剤の影響を否定した上で、経過からフィルグラスチムにより誘発された薬剤性大動脈炎と診断した。フィルグラスチムの中止のみで大動脈の壁肥厚は消失した。 |
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G-CSF製剤であるフィルグラスチム(グラン®)は化学療法による好中球減少症などに対して広く使用されている。G-CSF製剤による小型血管炎の発症は報告されているが、本症例のような大型血管炎の合併は稀である。大型血管炎の発症にG-CSFが関与している可能性が示唆され、同薬剤の投与中は大動脈炎の合併に留意する必要がある。
- 著者(発表者)
- 田中宏明ほか
- 所属施設名
- 産業医科大学第1内科学講座
- 表題(演題)
- G-CSF投与により誘発された大動脈炎の一例
- 雑誌名(学会名)
- 第51回 九州リウマチ学会 47 (2016)
第51回 九州リウマチ学会 (2016.3.5-6)
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