アゼルニジピンによる扁平苔癬型薬疹
2013年3月掲載
薬剤 | アゼルニジピン循環器官用剤 |
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副作用 | 扁平苔癬型薬疹 |
概要 | 77歳、女性。高血圧症のためアゼルニジピンを服用、約半年後両手背、眼周囲にそう痒感伴う紫紅色斑が出現、他院受診するも皮疹拡大のため当院皮膚科を受診した。病理組織学的所見からアゼルニジピンによる薬疹が疑われたが他院内科主治医が内服薬変更に同意されず、ベシル酸ベポタスチン内服・プロピオン酸クロベタゾール軟膏で治療開始、その後、病理組織学的所見、DLSTでアゼルニジピンによる扁平苔癬型薬疹と診断した。薬疹診断後も他院内科主治医は降圧剤の変更に同意されないため患者の希望により主治医を変更、アゼルニジピンの服用が中止された。服用中止6週後に躯幹四肢の皮疹は色素沈着となり、3ヵ月後で手背など一部に皮疹新生が少し見られるなど軽快傾向となり、経過観察中である。 |
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著者の考察によれば、苔癬型薬疹は薬剤服用後数ヵ月~3年後に皮疹が出現し、皮疹形成まで長く時間がかかり、薬剤中止後も皮疹消褪に時間がかかる特徴を持つとしている。苔癬型薬疹の原因薬剤として、以前頻度の高かった脳循環代謝改善薬や血管拡張薬は近年減少し、最近は降圧薬、特にARBやカルシウム拮抗薬によるものが増加しているとしている。
- 著者(発表者)
- 加来信子ほか
- 所属施設名
- 洛和会音羽病院皮膚科
- 表題(演題)
- アゼルニジピンによる扁平苔癬型薬疹の1例
- 雑誌名(学会名)
- 皮膚科の臨床 54(13) 1884-1888 (2012.12)
監修者コメント