せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > MCVAC療法によるVOD/SOS

MCVAC療法によるVOD/SOS

2016年5月掲載

薬剤 MCVACその他
ラニムスチン腫瘍用薬
シタラビン腫瘍用薬
エトポシド腫瘍用薬
シクロフォスファミド腫瘍用薬
副作用 VOD/SOS
概要 59歳、男性。DLBCLと診断し、R-CHOP療法を施行しCRを確認した。その後、肺、右腋窩、骨に再発し、R-GDP療法を施行し再度CRを確認した。R-ESHAP療法後、前処置MCVAC療法の自家末梢血幹細胞を移植した。2日目に肝機能障害が出現し、10日目にはT-Bil11.3、AST623、ALT460、BUN112、Cr3.35と肝腎機能悪化を認めた。黄疸、有痛性の肝腫大、腹水、体重増加よりVOD/SOSと診断し、血漿交換、CHDF、ステロイドパルス、トロンボモジュリンを開始した。14日目にリツキサンを併用したが、肝不全の改善なく死亡した。

監修者コメント

肝中心静脈閉塞症(VOD)は、放射線照射や化学療法などの後に疼痛を伴う肝腫大、腹水貯留、体重増加、およびビリルビン上昇を呈し、肝中心静脈閉塞を伴う循環障害性肝障害をきたす疾患で、静脈閉塞性肝疾患(SOS)とも呼ばれている。本症例では、再発悪性リンパ腫に対して自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を施行した後に致死的なVOD/SOSを発症した。前処置がMCVAC療法の自家末梢血幹細胞移植によるVOD/SOSの報告はこれまでになく、稀な症例である。VOD/SOSの標準的治療はなく、重篤な症例の予後は極めて不良であるため、病態の解明と予防・治療法の確立が急務である。

著者(発表者)
瀧澤春子ほか
所属施設名
順天堂大学医学部附属浦安病院 血液内科ほか
表題(演題)
再発悪性リンパ腫で自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法施行後に致死的なVOD/SOSを発症した一例
雑誌名(学会名)
第38回 日本造血細胞移植学会総会 304 (2016)
第38回 日本造血細胞移植学会総会 (2016.3.3-5)

新着文献 一覧

PAGETOP