せりみっく 今月の症例

ホーム > 新着文献  > 血小板製剤による敗血症性ショック

血小板製剤による敗血症性ショック

2016年4月掲載

薬剤 血小板製剤生物学的製剤
副作用 敗血症性ショック
概要 8歳、男児。急性骨髄性白血病再発に対して非血縁臍帯血移植を行い、移植後5日目に血小板輸血を行った。輸血前にスワーリングを確認した。輸血開始40分後から、発熱、悪寒・戦慄、嘔吐、頭痛が出現し、血圧低下、頻脈、動脈血酸素飽和度低下を認めたため、直ちに輸血を中止。抗菌薬、免疫グロブリン、血管作動薬、ステロイドを投与し、発症3日目に解熱した。輸血後4時間以内に発熱、悪寒、頻脈、血圧低下を来しており、患者の血液と血小板製剤から血清・遺伝子型ともに一致した大腸菌が同定されたことから、血小板製剤が大腸菌汚染されたことによる敗血症性ショックと診断した。

監修者コメント

本症例は、大腸菌が混入した血小板製剤を輸血したことにより発症した敗血症性ショックの1例である。血液製剤を介した細菌感染症は稀であるが、敗血症性ショックを発症した場合は致死的になることもあるため、迅速かつ適切な対応が必要となる。血液製剤の輸血中に細菌感染症を疑う症状が出現した場合は、迅速に原因菌を同定し、適切な抗菌薬による治療を行う必要がある。

著者(発表者)
岡﨑亮太ほか
所属施設名
島根大学医学部附属病院検査部ほか
表題(演題)
血小板製剤の大腸菌感染による敗血症性ショックを来した小児骨髄性白血病の1例
雑誌名(学会名)
日本輸血細胞治療学会誌 61(6) 546-549 (2015.12)

新着文献 一覧

PAGETOP