クロピドグレルによる薬剤性肺炎
2016年3月掲載
薬剤 | クロピドグレル血液・体液用薬 |
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副作用 | 薬剤性肺炎 |
概要 | 63歳、男性。左上下肢のしびれを主訴に他院を受診し、脳梗塞の疑いでクロピドグレル投与が開始された。5ヵ月後より労作時呼吸困難を自覚した。胸部CTで両肺野にすりガラス陰影、浸潤影を認め、精査目的で入院した。気管支肺胞洗浄液のリンパ球比率の増加に加え、クロピドグレルに対するリンパ球刺激試験が陽性であり、クロピドグレルによる薬剤性肺炎と診断した。プレドニゾロンの投与を開始したところ、労作時呼吸困難、画像所見、KL-6、LDH値の改善を認めた。 |
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抗血小板剤であるクロピドグレル(プラビックス®)は虚血性脳血管障害後の再発抑制などに広く用いられている。本症例では、脳梗塞の疑いでクロピドグレルの投与を開始して5ヶ月後に薬剤性肺障害を発症した。クロピドグレルの添付文書では、間質性肺炎の発症率は0.1%未満とされており、比較的稀な副作用である。クロピドグレルによる薬剤性肺炎は、本症例のように長期内服後に発症する可能性があり、定期的な胸部画像の経過観察を行い、労作時呼吸困難などの症状を認めた場合には、本副作用も念頭におき、適切な処置を行う必要がある。
- 著者(発表者)
- 村木慶子ほか
- 所属施設名
- 順天堂大学医学部呼吸器内科ほか
- 表題(演題)
- 気管支肺胞洗浄液でのリンパ球刺激試験が陽性のクロピドグレルによる薬剤性肺炎の1例
- 雑誌名(学会名)
- 日本呼吸器学会誌 4(6) 459-463 (2015.11)
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