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アザチオプリンによるPosterior Reversible Encephalopathy Syndrome

2016年3月掲載

薬剤 アザチオプリンその他の代謝性医薬品
副作用 Posterior Reversible Encephalopathy Syndrome
概要 15歳、女性。潰瘍性大腸炎と診断され、プレドニゾロンで治療中であったが、減量を目的にアザチオプリンの治療を開始した。4日後に激しい頭痛が出現し、7日後に全身けいれんと意識障害が出現し、緊急搬送となり入院した。頭部MRIで拡散強調画像(DWI)、Fluid Attenuation Inversion Recovery(FLAIR)、Apparent Diffusion Coefficient(ADC) Mapで高信号の血管原性浮腫を示唆する所見が認められた。アザチオプリンを中止後は、可逆性で良性の経過を取り、MRI異常所見も改善した。臨床経過とMRI所見からアザチオプリンによるPosterior Reversible Encephalopathy Syndrome(PRES)と診断した。

監修者コメント

1996年に報告されたPRESはけいれんや意識障害などの神経症状を呈し、画像所見で後頭葉・頭頂葉を中心とした梗塞を伴わない皮質および皮質下の浮腫を認める疾患である。本症例では、潰瘍性大腸炎に対して免疫抑制剤であるアザチオプリン(イムラン®)の投与を開始したところ、全身けいれんと意識障害が出現し、臨床経過とMRI所見などから同薬剤によるPRESと診断されている。PRESは背景因子の除去により、症状は可逆的に改善することが多いが、脳血管障害など神経学的後遺症を残す例も報告されている。免疫抑制剤などの投与によりPRESが疑われる場合には、早期にMRI検査を実施し、適切な診断・治療を行うことが重要である。

著者(発表者)
小川諒ほか
所属施設名
みやぎ県南中核病院神経内科ほか
表題(演題)
アザチオプリン内服によりposterior reversible encephalopathy syndromeを発症した1例
雑誌名(学会名)
臨床神経学 55(12) 936-939 (2015.2)
第91回 日本神経学会東北地方会

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