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プロクロルペラジンによる横紋筋融解症

2013年2月掲載

薬剤 プロクロルペラジン中枢神経用薬
副作用 横紋筋融解症/悪性症候群
概要 79歳、男性。頭部血管肉腫に対し、皮膚科で頭部悪性腫瘍摘除術、植皮移植術が施行され、術後、放射線とドセタキセルによる治療が行われた。退院後の頭部再発に、再度悪性腫瘍切除術を施行、ドセタキセルを投与、後頭部皮膚障害による疼痛に緩和チームが介入した。疼痛管理にオキシコドン徐放性製剤5mg1日2回を導入、プロクロルペラジン(PCZ)5mg1日3回毎食後を開始した。一方、アセトアミノフェン、メロキシカムは中止し、ロキソプロフェンナトリウム60mg1日3回毎食後を開始した。2日後にオキシコドン製剤を増量、徐痛を確認した。PCZ開始5日後に両下肢に脱力発作と疼痛が出現し立位困難となった。同日の検査でAST568IU/L, ALT 193IU/L, LDH 615U/L, CK 28,792IU/L, 血清ミオグロビン 40,800ng/mLの高値を示し、発汗や茶褐色尿、尿潜血を認めた。総合内科医によりPCZによる横紋筋融解症が疑われ、同日から輸液開始、PCZほかロキソプロフェンナトリウム、および介入前から投与されていたカンデサルタンレキセチル、ガバペンチンの投与を中止した。その後も発熱継続し、意識障害が認められたためオキシコドンを減量し、投与中止4日後には腎機能障害がピークに達したが、輸液の継続とフロセミド投与により約2週後に回復した。本症例では薬剤性悪性症候群が発症、重症化したため横紋筋融解症に至ったと考える。

監修者コメント

プロクロルペラジンの添付文書によれば、重大な副作用の項の冒頭に悪性症候群が記載されて注意が喚起されているが、現在のところ横紋筋融解症に関する記載はない。

著者(発表者)
紀平裕美ほか
所属施設名
神戸大学医学部付属病院薬剤部ほか
表題(演題)
プロクロルペラジンにより横紋筋融解症を来した1例
雑誌名(学会名)
日本緩和医療薬学雑誌 5(3) 61-64 (2012.9)

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