ペグインターフェロンα-2bによるサルコイドーシス
2016年2月掲載
薬剤 | ペグインターフェロンα-2b生物学的製剤 |
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副作用 | サルコイドーシス |
概要 | 62歳、女性。22歳時に広範囲熱傷のため皮膚移植の既往あり。C型肝炎に対するペグインターフェロンα-2bとリバビリン併用療法を終了した1ヵ月後より発熱、全身倦怠感とともに体幹、四肢に浸潤性紅斑が出現した。体幹、四肢の熱傷瘢痕部はびまん性に潮紅し、一部に紅色結節がみられた。皮膚生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫があり、異物を認め、肺生検でも類上皮細胞肉芽腫を認めた。以上より、熱傷瘢痕部に瘢痕浸潤型のサルコイド病変の形成を見たサルコイドーシスと診断した。肉芽腫内の異物の主成分はシリカであり、さらにPropionibacterium acnesの菌体成分が証明された。 |
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サルコイドーシスは、肺、リンパ節、皮膚、眼、心臓、筋肉など全身諸臓器に乾酪壊死を認めない類上皮細胞肉芽腫が形成される全身性の肉芽腫性疾患である。本症例は、広範囲熱傷のため皮膚移植の既往があり、C型肝炎に対するペグインターフェロンα-2bとリバビリン併用療法の終了後にサルコイドーシスを発症し、熱傷瘢痕部にサルコイド病変を生じた。C型肝炎に対するインターフェロン治療に関連したサルコイドーシスはしばしば報告されているが、熱傷瘢痕部に生じた皮膚サルコイド病変は稀である。インターフェロン治療経過中および終了後には、本合併症を念頭に置き、皮膚の注意深い観察が重要である。
- 著者(発表者)
- 高村さおりほか
- 所属施設名
- 埼玉医科大学総合医療センター皮膚科ほか
- 表題(演題)
- インターフェロン後の熱傷瘢痕浸潤サルコイドーシス例 インターフェロン治療後にサルコイドーシスを発症し,広範囲熱傷瘢痕部にサルコイド病変を生じた1例 ―異物とPropionibacterium acnesの共在について―
- 雑誌名(学会名)
- 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 35(1-2) 85-89 (2015.11)
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