
ホームIMICライブラリMMWR抄訳2025年(Vol.74)ウエストナイルウイルスと国に届け出義務のある他のア・・・
2025/06/12Vol. 74 / No. 21
MMWR74(21):358-364
West Nile Virus and Other Nationally Notifiable Arboviral Diseases — United States, 2023
アメリカにおけるアルボウイルス疾患の主な原因はウエストナイルウイルス(WNV)であり、毎年平均2,000例が発症し、うち1,200例が生命を脅かす神経疾患を発症し、約120例が死亡している。その他のアルボウイルスは、散発的な疾患の発症やアウトブレイクを引き起こすことがある。多くの患者は無症状であり、症候性感染症は軽度の発熱性疾患から重度の神経侵襲性疾患まで多岐にわたる。現在、アルボウイルス疾患には予防薬や特異的治療がなく、発症率や死亡率の低下には予防が不可欠となっている。今回、2023年に各州の保健局からArboNETを通じてCDCに報告された、国に届け出義務のある6つのアルボウイルス疾患(WNV疾患、ポワッサンウイルス疾患、ラクロスウイルス疾患、ジェームズタウンキャニオンウイルス疾患、セントルイス脳炎、東部ウマ脳炎)のデータを報告する。2023年に報告されたアメリカ国内のアルボウイルス疾患は2,770例であり、うち確定診断例812例(29%)、疑い例1,958例(71%)であった。WNV疾患が2,628例(95%)と最も多く、ポワッサンウイルス疾患49例(2%)、ラクロスウイルス疾患35例(1%)、ジェームズタウンキャニオンウイルス疾患27例(1%)、セントルイス脳炎21例(1%)、東部ウマ脳炎7例(1%未満)、特定不能のカリフォルニア血清型ウイルス3例(1%未満)であった。症例は国内3,143郡のうち772郡(25%)、アメリカ本土の全48州およびワシントンDCから報告された。症例の半数以上(57%)は60歳以上であり(小児での発症率が最も高かったラクロスウイルス疾患を除く)、63%は男性であった。WNV疾患は46州およびワシントンDCの692郡(22%)から報告され、そのほとんど(91%)は7月~9月に発症し、患者の年齢中央値は63歳、男性が63%、神経侵襲性疾患は1,789例(68%)であった。1,891例(72%)が入院し、うち1,665例は神経侵襲性疾患であった。194例(7%)が死亡し、死亡例の年齢中央値は73歳であり、190例(98%)が神経侵襲性疾患であった。WNV神経侵襲性疾患の全国発症率は人口10万人あたり0.53であり、10万人あたりの発症率はコロラド州(5.38)、サウスダコタ州(5.00)、ネブラスカ州(4.60)で高く、症例数はカリフォルニア州(334)、コロラド州(316)、テキサス州(122)で多かった。また、10万人あたりの発症率は年齢とともに上昇し(10歳未満0.02、70歳以上1.56)、女性(0.38)に比べ男性(0.68)で高かった。ポワッサンウイルス疾患は11州から49例報告され、うち96%が4月~12月に発症した。47例(96%)が神経侵襲性疾患であり、44例(90%)が入院し、8例(16%)が死亡した。死亡例の年齢中央値は71歳であり、10万人あたりの神経侵襲性疾患の発症率はメイン州(0.50)、ニューハンプシャー州(0.29)、バーモント州(0.15)で高かった。ラクロスウイルス疾患は10州から35例報告され、27例(77%)が7月~9月に発症し、男性が60%、91%が18歳未満、34例(97%)が神経侵襲性疾患であった。全例が入院したが、死亡例はなかった。神経侵襲性疾患の症例数はオハイオ州(12例)で最も多く、10万人あたりの神経侵襲性疾患の発症率はウエストバージニア州(0.28)、オハイオ州(0.10)、テネシー州(0.07)で高かった。ジェームズタウンキャニオンウイルス疾患は7州から27例報告され、85%が4月~9月に発症し、年齢中央値は60歳、74%が男性、20例(74%)が神経侵襲性疾患であり、25例(93%)が入院し、3例(11%)が死亡した。10万人あたりの神経侵襲性疾患の発症率はウィスコンシン州(0.19)、ミシガン州(0.05)、ミネソタ州(0.03)で高かった。セントルイス脳炎は3州から21例報告され、81%が7~9月に発症し、年齢中央値は62歳、67%が男性、14例(67%)が神経侵襲性疾患であり、17例(81%)が入院し、2例(10%)が死亡した。10万人あたりの神経侵襲性疾患の発症率はカリフォルニア州(0.03)で高かった。東部ウマ脳炎は4州から7例報告され、5例が7月~9月、2例が4月~6月に発症し、年齢中央値は64歳、6例が男性であった。全例が神経侵襲性疾患で入院し、1例が死亡した。臨床医は、蚊やダニが活動する時期に急性の発熱性疾患や神経疾患を呈する患者にはアルボウイルス検査を検討し、陽性の場合は保健局へ報告すべきである。アルボウイルス疾患の発症や死亡の抑制には、虫除け剤や防護衣などの個人防護策の実施、ベクターコントロールの実施、献血者および臓器提供者のWNVのスクリーニングが不可欠である。
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