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ホームIMICライブラリMMWR抄訳2024年(Vol.73)定期的予防接種率 - 全世界、2023年

MMWR抄訳

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2024/10/31Vol. 73 / No. 43

MMWR73(43):978-984
Routine Vaccination Coverage — Worldwide, 2023

定期的予防接種率 - 全世界、2023年

WHO加盟国194カ国における2010年~2023年における全世界、地域別、国別の定期ワクチン接種率を記述し、前回の報告を更新し、2023年におけるCOVID-19パンデミック前と後の傾向を明らかにし、2023定期予防接種率を算出する。ジフテリア・破傷風・百日咳含有ワクチン(DTPcv)接種率は2010年が89%、2019年が90%にと変化がなく、DTPcvの3回目(DTPcv3)接種率は2010年の83%から2019年には86%に増加した。COVID-19パンデミック中はDTPcvの初回(DTPcv1)およびDTPcv3の接種率は減少し、2021年にはそれぞれ86%、81%となった。2023年には部分的に回復し、DTPcv1は89%、DTPcv3は84%となったが、パンデミック前の2019年のレベルには達しなかった。アメリカ地域は2023年の接種率が2019年に比較して増加した唯一の地域であり、2023年のDTPcv1接種率は91%(2019年89%)、DTPcv3接種率は86%(2019年84%)であった。全世界では低所得国での減少が顕著であり、DTPcv3接種率は7ポイント減少した(2019年75%、2023年68%)。DTPcv未接種小児数は2010年の1,580万人から2019年には1,280万人に減少したが、2023年には1,450万人へ増加した。DTPcv未接種小児数は、ナイジェリア(2,134,000人)、インド(1,592,000人)、エチオピア(917,000人)、コンゴ民主共和国(839,000人)、スーダン(701,000人)、インドネシア(662,000人)、イエメン(580,000人)、アフガニスタン(467,000人)、アンゴラ(411,000人)、パキスタン(396,000人)にて多く、これら10カ国で全体の59%を占めた。DTPcv1からDTPcv3まで接種の途中脱落率は全体では2019年が5%、2021年が6%、2023年が6%であったが、低所得国では2019年が9%、2023年が13%と高かった。麻疹含有ワクチン(MCV)初回(MCV1)接種率は2010年の84%から2019年には86%に増加し、COVID-19パンデミック中の2021年には81%に減少し、2023年には83%に回復した。2010年~2019年にて42カ国がMCVの2回目(MCV2)接種スケジュールを導入し、うち26カ国がアフリカ地域であり、アフリカ地域におけるMCV2接種率は2010年の4%から2019年には33%に増加した。2020年~2023年にはさらにアフリカ地域10カ国がMCV2を導入し、2023年の接種率は49%となった。MCV未接種小児数は2019年の1,930万人から2023年には2,220万人へ15%増加し、DTPcv1からMCV1まで接種の途中脱落率は2010年の6%から2019年には5%に減少したが、2023年には7%に増加した。その他のワクチン接種率では2019年から2021年にかけて、BCG(89%から85%)、B型肝炎の出生時接種(43%から41%)と3回目接種(86%から81%)、インフルエンザ菌b型(Hib)3回目接種(74%から72%)、不活化ポリオウイルスワクチン初回(IPV1)接種(83%から80%)、ポリオワクチン3回目接種(83%から81%)、風疹含有ワクチン(69%から66%)にて減少し、2023年にはIPV1が83%に回復した。ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種は2010年~2019年に73カ国、2020年~2023年に30カ国にて導入され、女児のHPV初回接種率は2019年の17%から2023年には27%に増加し、HPV接種完了率は2019年の13%から2023年には20%となった。脆弱な紛争影響下にある(FCV)31カ国では、DTPcv1接種率は2019年の81%から2023年には78%、DTPcv3接種率は75%から70%に減少した。MCV1接種率は2019年の70%から2021年および2022年には66%に減少し、2023年は67%であった。2023年のDTPcv1未接種児の59%、MCV1未接種児の55%がFCV国に住む小児であった。以上、ワクチン未接種および不完全な小児、とくにFCV国に住む小児への国別の定期予防接種、キャッチアップワクチン接種プログラムの促進はワクチンで予防可能な疾患に関連する疾病率および死亡率を減少させるために重要である。

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