
ホームIMICライブラリMMWR抄訳2024年(Vol.73)インフルエンザ関連入院予防に対する2024年南半球・・・
2024/10/03Vol. 73 / No. 39
MMWR73(39):861-868
Interim Effectiveness Estimates of 2024 Southern Hemisphere Influenza Vaccines in Preventing Influenza-Associated Hospitalization — REVELAC-i Network, Five South American Countries, March–July 2024
インフルエンザの流行は通常、南半球では4~9月、北半球では10~5月の気温が低くなる月に発生する。インフルエンザは、アメリカ全体で毎年716,000~829,000名の入院と41,007~71,710名の死亡をもたらすと推定されている。今回、Pan American Health OrganizationのNetwork for the Evaluation of Vaccine Effectiveness in Latin America and the Caribbean – influenza(REVELAC-i)データから、南半球におけるワクチン有効性(VE)の推定値を算出し、次の北半球のインフルエンザシーズンに同じウイルスが流行した場合のVE予想する可能性を検討した。重症急性呼吸器疾患(SARI)患者の定義は、急性呼吸器症状とともに、発熱、咳、入院前10日以内に発症した患者とし、2024年3~7月、アルゼンチン(30病院)、ブラジル(2,477病院)、チリ(13病院)、パラグアイ(5病院)、ウルグアイ(10病院)より報告されたSARI患者のうち、対象患者基準を満たした11,751例を調査に含めた(アルゼンチン630例、ブラジル9,095例、チリ1,584例、パラグアイ162例、ウルグアイ280例)。患者は男性5,971例、女性5,780例、乳幼児6,851例(58.3%)、合併症あり1,702例(14.5%)、高齢者3,198例(27.2%)であり、約1/3がインフルエンザ検査陽性であった(3,848例、32.7%)。インフルエンザウイルスB型の感染は26例(0.7%)のみであり、すべてB/Victoria系統であった。A型インフルエンザ感染3,794例(98.6%)のうちサブタイプ分析は2,382例(61.9%)にて行われ、A(H3N2)は1,628例(68.3%)、A(H1N1)pdm09は754例(31.7%)であった。インフルエンザ症例は高齢者が多く(59.2%)、合併症ありでは50.4%であり、乳幼児例は16.0%と少なかった。ワクチンはアルゼンチン、ブラジル、チリ、ウルグアイでは3価ワクチン[A/Victoria/4897/2022(H1N1)pdm09様ウイルス、A/Thailand/8/2022(H3N2)様ウイルス、B/Austria/1359417/2021(B/Victoria系統)様ウイルスを含む]、パラグアイではB/Yamagata系統様ウイルスも含む4価ワクチンが接種されており、SARI患者全体でのワクチン接種率は高齢者が29.3%、乳幼児が19.4%、合併症ありで14.5%であった。インフルエンザ陽性例の2024年シーズンインフルエンザワクチン接種率は18.3%(704/3,848例)、陰性例では22.9%(1,804/7,889例)であり、インフルエンザ関連入院に対するVEは全体で34.5%(合併症あり58.7%、乳幼児39.0%、高齢者31.2%)、インフルエンザA(H3N2)に対するVEは36.5%、A(H1N1)pdm09に対するVEは37.1%、インフルエンザB型に対するVEは検出数が少なく推定不能であった。国別のインフルエンザウイルスによるSARIに対するVEはアルゼンチンが42.2%、ブラジルが30.3%、チリが56.9%、ウルグアイが61.0%であり、パラグアイは推定不能であった。2024年8月12日時点で、Global Initiative on Sharing All Influenza Dataに報告されたA(H1N1)pdm09ウイルスは、クレード5a.2a.1(64.2%)または5a.2a(35.8%)、A(H3N2)ウイルスはクレード2a.3a.1サブクレードJ.2(92.3%)、サブクレードJ.1(7.5%)、サブクレードJ(0.1%)であった。以上、南半球でのインフルエンザワクチン接種は入院リスクを有意に減少したことが示され、北半球においてもインフルエンザ関連合併症の予防を最適化するために堅固なインフルエンザワクチン接種キャンペーンと早期抗ウイルス療法が必要であることが予想される。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.