ホームIMICライブラリMMWR抄訳2024年(Vol.73)伝播型ワクチン由来ポリオウイルスの感染持続 ― ソ・・・
2024/06/27Vol. 73 / No. 25
MMWR73(25):575-580
Persistent Transmission of Circulating Vaccine-Derived Poliovirus — Somalia, January 2017–March 2024
2015年に野生株ポリオウイルス2型が根絶した後、2016年に世界同時での3価経口ポリオワクチン(tOPV)から2価経口ポリオワクチン(bOPV)への切替えが実施された。これによりポリオウイルスに対する集団免疫が低い地域で、伝播型ワクチン由来ポリオウイルス2型(cVDPV2)の広範なアウトブレイクが発生し、ソマリアでは2017年以降、cVDPV2の感染が持続している。今回、2017年以降のソマリアにおけるcVDPV2感染の防止における活動および課題について述べる。2017年1月~2024年3月、ソマリアでは経口ポリオワクチン2型(OPV2)または静注不活化ポリオワクチン(IPV)による追加予防接種活動(SIA)が28回実施された(全国予防接種日が7回、地域別予防接種日が12回、小規模ターゲットキャンペーンが9回、2021年が12回、2022年が6回、2023年が8回、2024年初旬が2回)。ワクチンは1価Sabin株OPV2が15回、新規OPV2が8回、tOPVが3回、IPVが2回のSIAで使用された。2017年~2020年にbOPVキャンペーンが17回実施された。2017年1月~2024年3月に報告された6~59カ月齢の非ポリオ急性弛緩性麻痺(AFP)乳幼児1,921例のうち、730例(38%)は定期予防接種で3回以上の経口ポリオワクチン(OPV)接種、538例(28%)が1回以上のIPV接種、1,364例(71%)がSIA期間中に3回以上のOPV接種を受けていた。全体で231例(12%)がOPV接種を受けておらず、うち219例(95%)はサウスセントラル地区、139例(60%)はアクセスが困難な地区の出身であった。2023年12月時点で、推定472,743例の乳幼児(ソマリアの5歳未満の幼児の17%)が治安上の理由からワクチン接種を受けられていない。ソマリアのAFPサーベイランスシステムは2024年3月時点で983カ所にて実施され、すべての地域で計796名のボランティアが参加し、うち71%はサウスセントラル地区にいる。2017年~2024年、ソマリアにおける非ポリオAFP率は15歳未満の小児10万人あたり3例/年を超えているが(2021年~2024年は3.8~5.2例/年)、cVDPV2症例が最も多いバナディール州では1.8~2.9と目標値を下回っていた。80%以上の便検体採取の目標は2017年~2023年(年あたり92.4%~99.1%)にて達成され、2024年第1四半期はガルムドゥグ(72.2%)を除いて達成されたが、採取後3日以内にケニアのWHO認定研究所に到着した検体の割合は、2017年の44%から2022年および2023年では9%に減少した。環境サーベイランスでは、2017年1月~2024年3月に6州のうち4州kら計73のcVDPV分離株が検出され、バナディール州で66件(90%)が検出された。cVDPV2症例は2017年~2024年、7州すべてから39例が報告され、うち34例(87%)はサウスセントラル地区であった。患者の平均年齢は36カ月齢(3~108カ月齢)、49%が女児であり、20例(51%)は定期予防接種またはSIAによるOPV接種を受けていなかった。2018年、cVDPV3症例はヒーシェベリ州およびジュバランド州にてそれぞれ5例、2例が報告されたが、2018年9月以降、cVDPV3は検出されていない。以上、ソマリアにおけるcVDPV2感染防止の目標を達成するための戦略として、ワクチン接種へのアクセスが困難な地域の小児に対する革新的なワクチン接種アプローチ法に焦点を当てる、オペレーションの課題に対処する、アクセスしやすい地域での接種キャンペーンの質を保証するなどがある。
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