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MMWR抄訳

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2024/06/13Vol. 73 / No. 23

MMWR73(23):523-528
Firearm Storage Behaviors — Behavioral Risk Factor Surveillance System, Eight States, 2021–2022

銃器保管行動 ― Behavioral Risk Factor Surveillance System、8州、2021年~2022年

アメリカにおける銃器による殺人率は2021年(10万人あたり6.3)から2022年(同5.9)にかけてわずかに低下したが、2019年(同4.4)より高いままである。銃器による自殺率は2019年以降上昇し、2022年は10万人あたり8.1と1968年(オンライン公衆衛生データベースCDC WONDERの初年データ)以来、最も高くなった。家庭内に銃器がある場合、安全な保管の実施(弾を装填しない、ロックするなど)により、家族による殺人や自殺のリスクを低減する可能性がある。今回、Behavioral Risk Factor Surveillance System(BRFSS)のデータを使用し、2021~2022年に8州が追加した銃の安全性に関するモジュールから、家庭内または家の周りに銃器を保管している割合を推算し、保管実施について調査した。BRFSSの回答率は2021年が44.6%、2022年が45.9%であった。最初の質問(家庭内または家の周りに銃器を所持しているか、など)への回答を拒否した人の割合は、3.6%(ニューメキシコ州)~12.0%(オクラホマ州)であった。家庭内または家の周りに銃器を所持していると回答した成人の割合は18.4%(カリフォルニア州)~50.6%(アラスカ州)であり、アラスカ州とネバダ州を除き男性にて有意に高く、白人では25.5%(カリフォルニア州)~55.0%(アラスカ州)、黒人では17.4%(ミネソタ州)~34.5%(アラスカ州)、ヒスパニック系では11.4%(ノースカロライナ州)~51.8%(アラスカ州)、その他人種では15.1%(カリフォルニア州)~42.8%(ネバダ州)であった。また、17歳以下の子供がいる回答者では銃器の所持率は18.4%(カリフォルニア州)~53.5%(アラスカ州)であった。銃器を所持している回答者に保管について質問した結果、銃器に弾を装填した状態で保管しているとの回答は19.5%(ミネソタ州)~43.8%(ノースカロライナ州)であり、その約半数が銃をロックせずに保管していた[48.7%(オハイオ州)~58.7%(アラスカ州)]。17歳以下の子供がいる回答者では19.2%(ミネソタ州)~35.5%(ノースカロライナ州)が弾を装填した状態で保管し、うち25.2%(オハイオ州)~41.4%(アラスカ州)がロックせずに保管していた。また、すべての州で65歳以上の回答者の約半数が弾を装填した銃器をロックせずに保管していると回答した[58.5%(ニューメキシコ州)~72.5%(オクラホマ州)]。既報の研究では、1~17歳の子供における意図しない銃器による死亡はほとんどが家やアパートで発生しており、使用された銃器は弾が装填された状態でロックせずに保管され、遊んでいるときや誰かに見せようとしたときに発砲したことが実証されている。今後、銃器の安全な保管を増やし、銃器による負傷を減らすための地域および社会レベルでのアプローチとして、安全な保管装置(ケーブルロック、引き金ロック、施錠した箱など)の提供を研究で評価することが可能である。また、いくつかの州で実施されているアプローチのCAP-NS法(child access prevention negligent storage)では子供がロックのかかっていない銃器へアクセスするのを監視しなかった大人への罰則を課している。今回の調査では銃器の保管方法において州や人口統計学的差による相違が示された。これらの相違を理解することは州政府や地方自治体、地域のパートナー、開業医が地域における銃器関連の負傷や死亡を減らすためのアプローチに焦点を当てるのに役立つものと思われる。

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