ホームIMICライブラリMMWR抄訳2024年(Vol.73)RSウイルスワクチンを接種した60歳以上の人におけ・・・
2024/05/30Vol. 73 / No. 21
MMWR73(21):489-494
Early Safety Findings Among Persons Aged ≥60 Years Who Received a Respiratory Syncytial Virus Vaccine — United States, May 3, 2023–April 14, 2024
RSウイルス(RSV)感染は高齢者に下気道疾患、入院、死亡を引き起こす。FDAは60歳以上の成人におけるRSVによる下気道疾患の予防として、2023年5月3日にアレックスビー[GlaxoSmithKline(GSK)社製]、5月31日にアブリスボ (Pfizer社製)のワクチンを認可した。6月21日にAdvisory Committee on Immunization Practicesは60歳以上の成人に対しRSVワクチンの単回接種を推奨した。ギラン・バレー症候群(GBS)は両方のRSVワクチンの臨床試験において安全性に関する懸念事項として特定されている。今回、RSVワクチン接種後の60歳以上の人における市販後ワクチンの早期(6週間)の安全性についての特徴を明らかにするため、2023年5月3日~2024年4月14日のV-safe(ワクチン接種後0~7日目に登録した参加者にWebアンケートを送付するアメリカのアクティブサーベイランスシステム)およびVAERS(医療従事者、ワクチン製造会社、一般人からのワクチン接種後有害事象報告のサーベイランスシステム)のデータを再調査した。2023年8月4日~2024年3月30日、約720万人の60歳以上の成人がGSK社製RSVワクチン、340万人がPfizer社製RSVワクチンを接種した。RSVワクチンを接種した60歳以上のV-safe登録者16,220人の年齢中央値は70歳(60~94歳)、9,684人(59.7%)が女性であり、GSK社製ワクチンを6,042人、Pfizer社製ワクチンを3,882人が接種し、5,936人は接種ワクチンメーカー不明であり、約1/3(5,043人、31.1%)が同じ受診日に他のワクチンを接種していた(COVID-19が3,370人、インフルエンザが2,808人)。接種後1週間に6,328人がRSVワクチン接種に関連する可能性があると考えられる症状を報告し(GSK社製3,103人、Pfizer社製1,058人、不明2,157人)、5,441人が注射部位症状(GSK社製2,808人、Pfizer社製787人)、4,839人が全身症状を報告した(GSK社製2,344人、Pfizer社製839人)。注射部位症状は軽度3,351人、中等度1,889人、重度201人、全身症状は軽度1,997人、中等度2,184人、重度537人であり、最も多く報告されたRSVワクチン接種後の症状は注射部位/部位周辺の疼痛であり(5,026人)、倦怠感/疲労感は3,327人、筋肉痛/身体の痛みは2,843人、その他の症状として咽頭痛54人、浮動性めまい38人、鼻水38人が報告された。また、接種後1週間の症状のため、1,264人(7.8%)が通常の生活ができず、68人(0.4%)が治療を受けた。VAERSには3,200件の有害事象が報告され(GSK社製2,193件、Pfizer社製919件、不明88件)、年齢中央値は72歳(60~112歳)、2,237人(69.9%)が女性であり、約1/3(1,050人、32.8%)が同じ受診日に他のワクチンを接種していた(最も多かったのはインフルエンザ625人)。3,200件のうち346件(10.8%)が過誤接種であり、281件(8.8%)が重篤に分類され、81件が生命を脅かし、66件に後遺症が残り、34人が死亡した。GBSは28件報告され(GSK社製13件、Pfizer社製15件)、100万回接種あたりの発現率はGSK社製が1.8、Pfizer社製が4.4であった。また、18人の死亡報告の死因は急性呼吸窮迫症候群、気管支肺炎、心イベント、心肺停止、エーリキア症、GBS、肝性脳症、低酸素性呼吸不全、多巣性白質脳症、呼吸不全、横紋筋融解症、RSV感染症、敗血症、肺炎に続発した敗血症、Pseudomonas菌血症、水痘・帯状疱疹ウイルス髄膜脳炎、血管性認知症であった。
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