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MMWR抄訳

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2024/05/30Vol. 73 / No. 21

MMWR73(21):484-488
West Nile Virus and Other Nationally Notifiable Arboviral Diseases — United States, 2022

ウエストナイルウイルスと国に届出義務のあるその他のアルボウイルス疾患 ― アメリカ、2022年

アメリカにて国に届出義務のある6つのアルボウイルス[東部ウマ脳炎、ジェームズタウンキャニオン、ラクロス、ポワッサン、セントルイス脳炎、ウエストナイルウイルス(WNV)]感染症について、アルボウイルス疾患のサーベイランスシステムであるArboNETに2022年に報告されたデータを分析した。2022年、CDCに報告されたアルボウイルス疾患の症例数は計1,274例、そのうち1,132例(91%)がWNVに起因し、ポワッサンが47例(4%)、セントルイス脳炎が33例(3%)、ラクロスが22例(2%)、ジェームズタウンキャニオンが12例(1%)、東部ウマ脳炎が1例(1未満)であった。症例はアメリカ45州およびワシントンDCの3,143郡のうち414郡(13%)から報告された。WNV疾患症例は42州およびDCの358郡から1,132例が報告され、そのうち966例(85%)が7~9月に発症していた。症例の年齢中央値は63歳、61%が男性であり、862例(76%)が入院し、93例(8%)が死亡した。WNV疾患症例の827例(73%)に神経浸潤性であり、そのうち772例(93%)が入院し、91例(11%)が死亡した。全国の人口10万人あたりの神経浸潤性WNV疾患罹患率は0.25であり、サウスダコタ州(人口10万人あたり3.96)、コロラド州(同2.24)、ネブラスカ州(同1.88)にて多く、症例数はカリフォルニア州(162例)、コロラド州(131例)、ニューヨーク州(75例)にて多かった。人口10万人あたりの神経浸潤性WNV疾患罹患率は年齢別では0.01(10歳未満)~0.78(70歳以上)であり、男性(0.32)が女性(0.19)に比べて高かった。ポワッサンウイルス疾患は9州の39郡から47例報告され、2022年、バーモント州から初めて報告された。発症は4~6月に多く(45%)、年齢中央値は64歳、55%が男性であり、45例(96%)が入院し、7例(15%)が死亡した。死亡した症例は全例60歳以上であった(中央値67歳、61~91歳)。神経浸潤性は43例であり(91%)、メイン州(10万人あたり0.29例)、コネチカット州(同0.17例)、バーモント州(同0.15例)にて高かった。セントルイス脳炎ウイルス疾患は3州の12郡から33例報告され、発症は7~9月(45%)と10~12月(39%)に多く、シーズン後半の症例は南西部(アリゾナ州、カリフォルニア州、テキサス州)から報告された。症例の年齢中央値は65歳、61%が男性であり、29例(88%)が入院、3例(9%)が死亡した。死亡例はすべて65歳以上であった(中央値83歳、68~85歳)。27例(82%)が神経浸潤性であり、アリゾナ州(10万人あたり0.16例)、カリフォルニア州(同0.04例)にて多かった。ラクロスウイルス病は5州19郡から22例報告され、20例(91%)が7~9月に発症、年齢中央値は9歳、55%は男児であり、21例(95%)が入院し、死亡例はなかった。19例(86%)が神経浸潤性であり、オハイオ州にて最も多く(12例、63%)、オハイオ州(10万人あたり0.10例)、ウエストバージニア州(同0.06例)、ミネソタ州(同0.05例)にて多かった。ジェームズタウンキャニオンウイルス病は5州12郡から12例報告され、発症は4~6月に多く(5例)、症例の年齢中央値は60歳、9例が男性であり、10例が入院し、死亡例はなかった。11例が神経浸潤性であり、ウィスコンシン州にて最も多く(4例)、発症率はロードアイランド州にて最も高かった(10万人あたり0.18)。東部ウマ脳炎ウイルス病は60歳以上の女性が1例であり、8月に発症し、神経浸潤性で入院した。アルボウイルス疾患の患者数は2021年の3,035例から59%減少したが、セントルイス脳炎ウイルス疾患は2003年以降最多で、ポワッサンウイルス疾患は過去最多となった。ウイルスが活動する地域では地域や家庭での媒介生物の個体数を減少させるようにし、蚊、マダニなどへの曝露を減少するための個人での防護対策により、アルボウイルス感染症の疾病率および死亡率を減少させる可能性がある。

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