コンゴ民主共和国におけるクレードⅠエムポックス症例の増加に対するアメリカの準備と対応 ― アメリカ、2024年

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MMWR抄訳

2024/05/16Vol. 73 / No. 19

MMWR73(19):435－440
U.S. Preparedness and Response to Increasing Clade I Mpox Cases in the Democratic Republic of the Congo — United States, 2024

コンゴ民主共和国におけるクレードⅠエムポックス症例の増加に対するアメリカの準備と対応 ― アメリカ、2024年

クレードⅠのエムポックスウイルス(MPXV)はクレードⅡのMPXVよりもより多くの人で重症化する原因となる可能性があり、中央アフリカの数カ国で流行しており、コンゴ民主共和国(DRC)では2023年から2024年にかけて疑い症例が増加している。今回の報告では、DRCでの症例調査、DRCに対するCDCの支援、アメリカにおける今までの公衆衛生上の準備活動について述べる。2023年1月1日～2024年4月14日、DRCでは26州中25州から疑い例が19,919例、死亡例が974例(4.9％)報告され、首都のキンシャサからも報告された。2つのアウトブレイクでは男性同性間性的接触者(MSM)、男女の性労働者およびその接触者にてクレードⅠのMPXVの性感染が報告された。全体で疑い例の約2/3(67％)、死亡例の約3/4以上(78％)が15歳以下であり、生後12～59カ月齢の幼児が疑い例の28％を占めていた。一部の州(エカトゥール州など)では69％が15歳以下を占め、他の州(南キブ州、キンシャサ特別州など)では15歳以上が69％を占めていた。DRCの疑い例の50％はエカトゥール州から報告され、致命率(5.7％)も他の地域(4.3％)に比べ高かった。2023年1月1日～2024年3月24日に2,016件(疑い例全体の11％)の検体が検査され、そのうち1,302件(65％)が陽性と確認された。2024年1月1日～3月24日に検査で陽性が確認された480例のうち239例(50％)は15歳以下であった。循環しているクレードⅠのMPXV株の遺伝子多様性に関する限られたデータは、アウトブレイクはDRC内の動物宿主からの複数の導入が関与していることを示唆しているが、感染拡大には家庭内の濃厚接触が大きく寄与している傾向がある。人口学的特徴における地理の差やウイルスの遺伝子学的多様性は異なる州にて人獣共通感染、家庭内感染、性的感染などさまざまな感染の促進因子が示唆しており、複雑な疫学的状況をもたらしている。CDCは臨床検査の確立とトレーニング、診断検査と遺伝子配列、JYNNEOSワクチンの臨床研究の実施、最前線の医療従事者のトレーニングなどを支援し、アメリカ政府は資金、技術支援および人員の派遣を行っている。CDCは2023年12月7日、Health Alert Networkを出し、アメリカの臨床医に対し、DRCに滞在し、エムポックスの症状や徴候のある患者はクレードⅠのMPXV感染を考慮するよう推奨し、また、DRCの渡航警戒レベルを2とした。さらに管轄地域と協力し、既存のエムポックス症例報告様式を改訂し、クレードⅠのMPXVの検査結果を含むことで最新の状況を把握し、また、オンラインコンテンツを更新し、医療従事者、州および地方の保健局と情報を共有している。2023年12月1日～2024年4月14日の間にCDCが検査した非天然痘オルソポックスウイルス陽性検体(343件)にてクレードⅠのMPXV感染は確認されず、国内の他の研究所で検査した約900検体でもクレードⅠの MPXVは検出されなかった。2024年4月22日現在、32管轄地域186施設にてクレードⅠおよびⅡのMPXVが検出可能となっている。また、2023年12月22日～2024年4月11日、国内の4つの空港で収集された282検体において、MPXV陽性検体は認めていない。

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