移民シェルターに関連する麻疹のアウトブレイク ― イリノイ州シカゴ、2024年2月～5月

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MMWR抄訳

2024/05/16Vol. 73 / No. 19

MMWR73(19):424－429
Measles Outbreak Associated with a Migrant Shelter — Chicago, Illinois, February–May 2024

移民シェルターに関連する麻疹のアウトブレイク ― イリノイ州シカゴ、2024年2月～5月

アメリカでは2000年に麻疹の根絶が宣言されたが、世界での感染は持続している。麻疹ワクチンの1回目接種、2回接種による予防効果はそれぞれ93％、97％である。2022年8月以降、約41,000名の移民がアメリカ南部の国境からシカゴに到着した。移民の多くはベネズエラ出身であり(88％)、ベネズエラでは最近、小児における麻疹ワクチンを含む定期予防接種率が低下している。2024年2月22日、シカゴ市が運営する移民シェルター(27カ所)には約12,000名が居住し、最も大きいシェルター(シェルターA)には約2,100名が居住していた。このシェルターAに住む1歳の男児が2024年2月26日に発疹を発症し、27日に麻疹の疑いで入院し、3月4日にChicago Department of Public Health(CDPH)に通知された。この子供は5カ月発疹発症の5カ月よりもっと前にアメリカに到着し、発疹を発症する5週間前に麻疹おたふくかぜ風疹混合ワクチン (MMR)ワクチンを1回接種していた。3月7日、麻疹ワクチンアッセイにて野生株麻疹感染が確認され、CDPHは同日夜、シェルター入居者と職員への注意喚起を行い、翌朝に予防接種を手配した。2月26日～5月13日、CDPHはRT-PCR検査により入居者52名、職員3名、コニュニティーメンバー2名を含む計57名のシェルターA関連麻疹例を確認した。感染者の年齢中央値は3歳(0～52歳)、43名(84％)がベネズエラ出身であり、発疹発症前の中央値124日(56～202日)にアメリカに到着していた。41名(72％)は麻疹予防接種の記録がなく、未接種と考えられた。16名(28％)は初回曝露の21日以上前に1回以上のワクチン接種、4名(7％)は2回以上のワクチン接種の記録があった。麻疹感染が確認されたワクチン接種歴のある人の年齢中央値は9.5歳(1～49歳)、7名は5歳未満であった。また、2月22日～3月7日までシェルターAに住んでいたが、3月7日より後に個室のある混雑の少ないシェルターに移動した2名にも麻疹の感染が確認されたが、二次感染者は発生しなかった。5月13日時点で、52名の検体から同一の麻疹遺伝子型D8配列が同定された。51名(89％)が隔離または合併症のため入院したが、死亡例は報告されなかった。CDPHは3月8日～10日にかけてシェルターAにて予防接種キャンペーンを実施し、入居者1,801名のうち、麻疹ワクチン接種歴がなく生後6カ月以上で妊娠していない入居者、28日以上前に1回目を接種した1歳以上の入居者の882名(49％)にMMRワクチンが接種された。本アウトブレイクでは人が多く集まる環境に居住するコミュニティにおいてワクチン接種率を確実に高くすることが必要であることが強調された。

References

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