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MMWR抄訳

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2024/03/14Vol. 73 / No. 10

MMWR73(10):219-224
Outbreak Linked to Morel Mushroom Exposure — Montana, 2023

モレルマッシュルームへの曝露に関連するアウトブレイク ― モンタナ州、2023年

2023年4月18日、モンタナ州のDepartment of Public Health and Human Services(MTDPHHS)とギャラティン郡およびブロードウォーター郡の保健局は、4月17日にモンタナ州ボーズマンのレストランAで別々に食事後に、重度の悪心、嘔吐、下痢を呈した2例についての通知を受けた。1例目は入院後に死亡し、2例目は病院の救急科を受診して数時間後に死亡した。2例とも食事後60分以内に症状が発現していた。これらの報告により、ギャラティン市-郡保健局(GCCHD)は4月18日にレストランAを直ちに査察し、一時的に閉鎖した。4月19日、MTDPHHSはCDCとFDAに支援を要請した。2例のインデックス患者の調査では、両名ともサーモンとモレルマッシュルーム(アミガサタケ)が入ったスペシャルスシロールを食べていたことが判明した。モレルマッシュルームは新メニューの食材で、スペシャルスシロールに限った唯一の食材であったため、早くからアウトブレイク源として疑われた。モレルマッシュルームは、3月27日~4月17日にかけてさまざまな方法で調理されていた。5月3日にアウトブレイクに関する最新情報と追加症例がいないかの確認に関するプレスリリースが発表され、3月28日~4月17日にレストランAでの食事に関連した胃腸疾患のGCCHDへの報告が続いた。調査により、合計51例が特例され(従業員5例、レストラン利用客46例)、このうち、4例が救急外来を受診し、3例が入院し、インデックス患者2例が死亡した。MTDPHHSとGCCHDは食品検体検査についてはFDAと、臨床検体検査についてはCDCの毒物学および腸疾患グループと連携したが、原因物質は特定されなかった。疾患に関連する食品を特定し、可能性のある用量反応関係を評価するために、MTDPHHSとGCCHDはCDCの支援を得て、レストランの利用客を対象とした症例対照研究を実施した。一般的に食用に適していると考えられているモレルマッシュルームの摂取が胃腸疾患と強く関連していた。用量反応関係が特定され、生のモレルマッシュルームの摂取は、少なくとも部分的に調理されたものの摂取時よりも疾患と強く関連していた。アウトブレイクに対応して、モレルマッシュルームの調理と安全性に関する教育的な公共メッセージが複数のメディアソースを通じて共有された。今回の調査は、機関相互の迅速な情報伝達および協力の重要性、食品媒介性疾患アウトブレイクの調査における疫学研究の有用性、モレルマッシュルームの摂取が人の健康に及ぼす影響に関する追加研究の必要性を浮き彫りにしている。疾患を引き起こす可能性のあるモレルマッシュルームの毒素は完全には解明されていないが、十分な加熱調理を含む適切な調理手順は、健康への悪影響を制限するのに役立つ可能性がある。

References

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  • Montana Department of Public Health and Human Services; Gallatin City-County Health Department. DPHHS and GCCHD provide final summary on foodborne outbreak linked to morel mushrooms. Helena, MT: Montana Department of Public Health and Human Services; 2023. <https://dphhs.mt.gov/News/2023/July/FinalSummaryonMorelMushroomsFoodbourneOutbreak>
  • Beug M, Shaw M, Cochran KW. Thirty-plus years of mushroom poisoning: summary of the approximately 2,000 reports in the NAMA case registry. McIlvainea 2006;16:47–68. <https://fungimag.com/archives/Poisonings.pdf>
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