美容整形手術を受けたアメリカ国民の死亡 ― ドミニカ共和国、2009年～2022年

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MMWR抄訳

2024/01/25Vol. 73 / No. 3

MMWR72(3):62－65
Deaths of U.S. Citizens Undergoing Cosmetic Surgery — Dominican Republic, 2009–2022

美容整形手術を受けたアメリカ国民の死亡 ― ドミニカ共和国、2009年～2022年

医療を受けるための他国への旅行(医療ツーリズム)は、美容整形手術に関連した旅行などを含め、アメリカ国内に比べ費用が安く、手術の待ち時間が短いため、アメリカ在住者において増加しつつある。ドミニカ共和国はアメリカに近いため、医療ツーリズム先として人気がある。CDCは2003年以降、ドミニカ共和国で美容整形手術を受けたアメリカ国民に発現した有害事象を記録しており、美容整形手術の医療ツーリズム後に最も多く報告されている有害事象は感染症であり、死亡はまれである。2009年～2018年、ドミニカ共和国にて美容整形手術を受け、死亡したアメリカ人は年平均4.1例(1～8例)であったが、2019～2022年には年平均13.0例に増加し、年別では2020年の17例がピークであった。この増加により、アメリカ合衆国大使館からCDCに問い合わせがあり、CDCはドミニカ共和国保健省と共同で、ドミニカ共和国にて美容整形手術を受けたアメリカ国民における死亡の原因、疫学、予防可能なリスク因子について調査を開始した。症例定義は2009年～2022年にドミニカ共和国で美容整形手術を受け、術後3週以内にドミニカ共和国で死亡したアメリカ国民とし、美容整形手術の定義は乳房の手術、腹壁形成術、脂肪吸引、豊尻術などアメリカ形成外科学会が美容整形手術と指定する手術に該当するものとした。2009年～2022年にドミニカ共和国での美容整形手術に関連したアメリカ国民の死亡は計93例であり、1例以外はみな女性、死亡時平均年齢は40歳(19～69歳)であった。2019年～2020年に死亡した29例のうち、カルテが入手できたのは24例であり(2019年10例、2020年14例)、全例女性、平均年齢41歳(26～61歳)、平均BMIは32 kg/㎡(24～44 kg/㎡)であり、22例(92％)に静脈血栓塞栓症リスク増加に関連する合併症があった。BMIの情報が明らかな23例中22例(96％)が過体重/肥満であり、24例中、糖尿病は2例(8％)、現喫煙者が3例(13％)であり、2例が経口避妊薬を使用していた。心臓専門医、呼吸器科医による術前評価はそれぞれ18例(75％)、11例(46％)に行われた。脂肪吸引は24例全員が受け、臀部脂肪移植は22例(92％)、腹壁形成術は14例(58％)、豊胸術は11例(46％)が受け、1例あたり3回(2～4回)の手術が行われた。14例(58％)は術後24時間以内に死亡し、手術から死亡までの平均期間は2.8日(0～18日)であった。これらの死亡に関連する外科クリニックは9施設であり、2施設にて2例以上が死亡した。剖検報告書は20例(83％)について入手可能であり、すべての死亡が術中および術後合併症によるものであり、11例は脂肪塞栓症、7例は肺静脈血栓塞栓症であった。海外にて美容整形手術を受けることを考えているアメリカ国民は、術後の有害事象に関する特有のリスクやリスク軽減のためにできる予防策について、プライマリケア医に相談するべきである。飛行機で移動しての手術は血栓のリスクを高めるため、目的地との往復には十分な時間を確保すべきである。患者の術前評価の重要性、1回の手術で複数の美容整形施術を行うことの潜在的な危険性に関する医療従事者への教育を公衆衛生局は支援することができる。

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