ホームIMICライブラリMMWR抄訳2023年(Vol.72)麻疹排除に向けた進展 ― 全世界、2000年~20・・・
2023/11/17Vol. 72 / No. 46
MMWR72(46):1262-1268
Progress Toward Measles Elimination — Worldwide, 2000–2022
麻疹は接触伝染性が高く、伝染を阻止するためには高い集団免疫を必要とするワクチンで予防可能な疾患である。WHOの6地域すべてが麻疹排除に取り組んできたが、麻疹排除を達成し、維持した地域はない。今回、2000年~2022年までの麻疹排除の進捗状況について報告する。2000年~2019年の期間では、麻疹含有ワクチン(MCV)の初回接種の全世界の推定接種率72%から86%に増加したが、その後、COVID-19パンデミック中の2021年には81%に低下し、2008年以降で最低の接種率となった。一方、2022年にはMCVの初回接種率は83%に増加した。2022年に除外症例を報告している144カ国のうち、麻疹サーベイランス感度指標の目標(人口10万人あたり2例以上の除外症例)を達成したのは半数の72カ国のみであった。2022年には、WHOの4つの地域(アフリカ、東地中海、南東アジア、欧州)の37カ国が大規模または破壊的な麻疹のアウトブレイクの影響を受け、前年の22カ国と比較して68%増加した。麻疹症例から検出された遺伝子型は、2022年には1例以上の麻疹症例を報告した105カ国中35カ国(33%)で報告されたが、2021年には82か国中22か国(27%)であった。2021年報告された遺伝子型(800例のシーケンス)のうち、608例(76%)がB3型、192例(24%)がD8型で、2022年に報告された遺伝子型(1,470例、シーケンス)のうち、772例(53%)がD8型、698例(47%)がB3型であった。2021年~2022年の期間では、推定される麻疹症例数は7,802,000人から9,232,300人へ18%増加した。推定される麻疹による死亡者数は、2021年から2022年にかけて95,000人から136,200人へ43%増加した。それにもかかわらず、2000年~2022年の期間にワクチン接種によって推定で5,700万人の麻疹による死亡が回避された。2022年には、麻疹ワクチンの接種率と世界的なサーベイランスは、COVID-19のパンデミックによる後退から一部の回復を示したが、低所得国での接種率は低下し、世界的に長年にわたる最適ではない予防接種率は、何百万人もの小児を無防備にしている。COVID-19のパンデミック中に経験した接種率の後退の早急な逆転は、すべての小児に2回のMCVワクチンを接種しサーベイランスを強化する取り組みの再確認、それによるアウトブレイクの防止と麻疹排除に向けた進展を加速させることにより達成できる。
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