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MMWR抄訳

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2023/09/22Vol. 72 / No. 38

MMWR72(38):1020-1026
Progress Toward Poliomyelitis Eradication — Afghanistan, January 2022–June 2023

ポリオ根絶に向けた進展 ― アフガニスタン、2022年1月~2023年6月

Global Polio Eradication Initiativeが開始された1988年、野生株ポリオウイルス(WPV)の伝播は125カ国で報告された。2017年以降、風土性のWPV1型(WPV1)伝播が依然として続いている国は、アフガニスタンとパキスタンのみである。今回、2022年1月~2023年6月のアフガニスタンにおけるポリオ根絶に向けた活動と進捗状況について述べる。WHOとユニセフの推定では、アフガニスタン全体での生後12~23カ月の幼児における経口ポリオウイルスワクチン(OPV)3回接種率は、2022年が76%、2021年が71%であった。2016年、アフガニスタンと他のOPVを使用しているすべての国では、3価OPV(Sabin株1型、2型、3型を含む)から2価OPV(Sabin株1型と3型を含む)および3つの血清型すべてを含む不活化ポリオウイルスワクチン(IPV)の1回以上接種への世界的な同期切り替えを実施した。アフガニスタンにおけるIPVの1回接種率の推定は、2022年が71%、2021年が67%であった。今回報告時点での2023年における定期予防接種(RI)による3回以上のOPV接種率は73%に改善し、RIによるOPV接種をしてない乳幼児の割合は13%に減少した。RIまたは追加予防接種活動を通じてOPVを接種したことがない乳幼児(接種回数ゼロ児)の割合は、2022年の1.4%から2023年には0.8%に減少した。15歳未満の人口10万人あたりの全国的な非ポリオ急性弛緩性麻痺発症率は、2022年が24例、2023年1月~6月までの年換算では26例であった。適切な検体が得られた急性弛緩性麻痺症例の割合は、2022年、2023年報告時ともに94%であった。WPV1症例は、2022年に2例報告され(南東部のPaktika州と東部のKunar州から各1例)、2023年1月~6月に5例(すべて東部のNangarhar州)が報告された(8月26日時点)。2023年の5例全例が計16回以上のOPV接種をしていた。環境調査では、2023年の5月に南部地域、6月に北部地域の下水サンプルからWPV1が検出され、南部地域と北部地域でWPV1が検出されたのはそれぞれ2021年2月および2020年3月以来初めてである。戸別訪問ワクチン接種の制限により、南部地域および北東部地域の一部ではワクチン接種キャンペーンの有効性が制限されている。人口移動のため、アフガニスタンとパキスタンのどちらの国でもWPV1流行が続く場合、依然として伝播のリスクは残る。ワクチン接種活動の運営上の改善にもかかわらず、アフガニスタンにおけるWPV1の伝播を阻止するためには、WPV1流行を持続させるワクチン接種率のギャップに対処するために、ポリオ根絶活動に関するパキスタンとの継続的な連携を含む熱心な不断の取り組みが求められるであろう。

References

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