ホームIMICライブラリMMWR抄訳2023年(Vol.72)局地的に感染した蚊によって媒介される(土着)マラリ・・・
2023/09/08Vol. 72 / No. 36
MMWR72(36):973-978
Outbreak of Locally Acquired Mosquito-Transmitted (Autochthonous)Malaria — Florida and Texas, May–July 2023
局地的に感染した蚊が媒介する(土着)三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)は、最近では 2003年にアメリカで報告されたが、2023年5月18日から7月17日までに8例の土着性マラリア症例がフロリダ州(7例)とテキサス州(1例)の州保健局からCDCに報告された。フロリダ州で報告された7例は、すべてサラソータ郡の半径4マイル(6.4キロ)以内の居住者から発生した。隣接地域では、三日熱マラリアの輸入症例(4月20日に症状発現)が以前に報告されていた。テキサス州では、土着性マラリア感染患者が曝露した可能性が高いキャメロン郡の同じ地域で、三日熱マラリアの輸入症例(5月2日に症状発現)が以前に報告されていた。フロリダ州とテキサス州での輸入症例がこれらの土着性マラリア症例と関連があるかどうかは、現時点では不明であり、2つの州でのアウトブレイクを結びつけるエビデンスはない。土着性マラリア患者は、さまざまな臨床徴候や症状のために医療機関を受診し、症例は迅速診断検査、血液塗抹標本、PCR検査を組み合わせて診断された。患者全員が発熱および血小板減少症を報告し、7例が入院したが、重度のマラリアの発症および死亡例は認めなかった。2023年8月4日の時点で、5例がアルテメテル・ルメファントリンにより、3例がアトバコン・プログアニルにより治療を受け、すべての患者に再発防止治療のためにプリマキンが処方された。患者は全員回復した。2023年8月4日の時点で、症例調査、蚊の監視と制御活動、パブリックアウトリーチと教育活動が両州で継続されている。アメリカの臨床医は、アメリカにおける土着性マラリアのリスクは依然として非常に低いものの、特に土着性マラリアが最近報告されている地域では、原因不明の発熱患者に対してマラリア診断を検討する必要がある。マラリアの迅速な診断と治療は重症疾患や死亡を予防し、地域のハマダラカや他の人への進行中の伝播を制限することができる。自宅で蚊の刺咬の予防や蚊の制御により、マラリアをはじめとする蚊が媒介する疾患を防ぐことができる。また、マラリア流行地域に海外旅行する前に、推奨されるマラリア予防策について医療従事者に相談する必要がある。
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