ホームIMICライブラリMMWR抄訳2023年(Vol.72)50歳以上の成人におけるmpoxの疫学的および臨床・・・
2023/08/18Vol. 72 / No. 33
MMWR72(33):893-896
Epidemiologic and Clinical Features of Mpox in Adults Aged >50 Years — United States, May 2022–May 2023
アメリカでは2022年5月10日~2023年5月17日にて計30,401人のサル痘(mpox)患者が報告され、そのほとんどは若年成人男性であった。50歳以上の成人は小児期に天然痘ワクチン(1971年に廃止)を接種している可能性が高く、干渉効果によりmpoxウイルスに対する感受性が低いと考えられる。また、若年者に比べ合併症が多く、感染した場合は重症化する可能性がある。ここでは成人におけるmpoxの疫学的特徴と臨床的転帰を年齢別に示し、50歳以上の成人ではJYNNEOSワクチン接種の有無による比較を行った。2022年5月10日~2023年5月17日のNational Notifiable Disease Surveillance Systemデータより、mpoxに感染した成人29,984例を18~50歳27,075例と50歳以上2,909例に分けた。シスジェンダー男性は18~50歳では25,681例(95.2%)、50歳以上では2,794例(96.3%)であり、人種/民族は18~50歳では黒人/アフリカ系アメリカ人8,733例(34.2%)、白人7,878例(27.8%)、ヒスパニック/ラテン系1,684例(6.6%)、50歳以上ではそれぞれ561例(20.5%)、1,297例(47.3%)、758例(4.4%)であった。発症前3週間に性的接触があったのは18~50歳が15,495例(78.6%)、50歳以上が1,618例(77.0パー線)と同等であり、シスジェンダー男性の性的パートナーはそれぞれ96.6%、97.0%がシスジェンダー男性であった。免疫不全者の割合は18~50歳にて11.1%、50歳以上では15.0%(p<0.001)であり、JYNNEOSワクチン接種率はそれぞれ21.3%、27.6%であった。JYNNEOSワクチンを接種していないmpox患者の臨床症状は、50歳以上の患者にて消化器症状および全身症状の発現率が低く(それぞれ37.3% vs. 50.3%、85.0% vs. 91.2%)、入院率および死亡率は同等であった。50歳以上でJYNNEOSワクチン接種状況の明らかな1,020例のうち、HIV陽性率および免疫不全の割合は接種例と非接種例にて有意差は認めず(それぞれ61.9% vs. 66.8%、14.9% vs. 15.0%)、臨床症状は接種例にて全身症状、そう痒の発現率が有意に低く(それぞれ64.9% vs. 81.3%、44.1% vs. 56.9%)、入院率も有意に低かった(1.2% vs. 7.4%)。以上、mpox感染リスクのある成人は小児期の天然痘ワクチン接種の有無にかかわらず、JYNNEOSワクチンの接種が推奨される。
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