ホームIMICライブラリMMWR抄訳2022年(Vol.71)トランスジェンダーおよびジェンダーダイバースの成人・・・
2022/12/30Vol. 71 / No. 51-52
MMWR71(51&52):1605-1609
Epidemiologic and Clinical Features of Mpox in Transgender and Gender-Diverse Adults — United States, May–November 2022
2022年11月9日時点で、アメリカでは合計28,730例のサル痘(mpox)症例が報告され、男性同性間性的接触が最近あったシスジェンダーの成人男性にて主であった。アメリカの成人人口の推定0.5%を構成するトランスジェンダーおよびジェンダーダイバースの人は、特有の健康格差と治療への障壁に直面しているが、この集団におけるサル痘ウイルス感染症の疫学的および臨床的特徴に関するデータは限られている。CDCは、2022年5月17日~11月4日に報告されたトランスジェンダーおよびジェンダーダイバースの成人におけるmpox症例について、アメリカ症例サーベイランスデータを分析した。2022年11月4日時点で、アメリカの成人におけるmpox症例は合計28,072例が報告されたが、シスジェンダー男性が主であり(94.8%)、シスジェンダー女性は2.6%、トランスジェンダー/ジェンダーダイバースは466例であった(1.7%)。トランスジェンダー/ジェンダーダイバースのmpox症例の多くがトランスジェンダー女性(43.1%)またはジェンダーダイバースの人(42.1%)で、14.8%がトランスジェンダー男性であった。トランスジェンダー/ジェンダーダイバースの成人mpox症例の約52.1%が、ニューヨーク市(26.0%)またはカリフォルニア州(26.2%)から報告され、年齢中央値は32歳(18~71歳)であった。人種および民族が報告されたトランスジェンダー/ジェンダーダイバースは416例であり(89.3%)、ヒスパニック系/ラテン系は37.0%、非ヒスパニック系白人は28.1%、非ヒスパニック系黒人/アフリカ系アメリカ人は27.6%であった。トランスジェンダー/ジェンダーダイバースの症例で最も多く報告された徴候および症状は、発疹(91.8%)、倦怠感(67.3%)、発熱(64.9%)、そう痒 (63.9%)、頭痛(63.7%)、悪寒(62.2%)、筋肉痛(61.9%)、リンパ節腫大(58.9%)であった。HIVの有無に関するデータが明らかなトランスジェンダー/ジェンダーダイバース症例は166例(35.6%)であり、そのうち79例(47.6%)が HIVに感染していた。アウトブレイクの進行中、トランスジェンダーおよびジェンダーダイバースの人は、不均衡にmpoxの影響を受けており、この集団は、mpox罹患率が最も高い性的ネットワークに属している可能性のあるシスジェンダーの男性との最近の性的接触または密接で親密な接触が多かった。これらの調査結果は、トランスジェンダー/ジェンダーダイバースのコミュニティに合わせた公衆衛生の予防とアウトリーチの取り組みの重要性を強調しており、mpox感染を減らすための戦略の指南となる可能性がある。
Copyright © 2013 International Medical Information Center. All Rights Reserved.