ホームIMICライブラリMMWR抄訳2022年(Vol.71)COVID-19パンデミックにおけるHIVの医療サ・・・
2022/12/02Vol. 71 / No. 48
MMWR71(48):1505-1510
HIV Services and Outcomes During the COVID-19 Pandemic — United States, 2019–2021
アメリカではCOVID-19パンデミックに対応するため、2020年3月13日に国家非常事態が宣言された結果、生活に必要不可欠ではない業種、ほとんどの救急ではない医療施設が閉鎖され、外出禁止令や地域内の移動制限などが行われた。COVID-19パンデミック中に失業率が増加し、多くの人が雇用者負担の健康保険を失い、パンデミック初期にはHIV検査および曝露前予防薬(PrEP)の処方は減少した。今回、2019年~2021年におけるHIVの予防および医療ケアサービスの利用とHIV転帰に対するCOVID-19パンデミックの影響について評価するため、アメリカの民間会社であるIQVIA Real World Data - Longitudinal Prescription DatabaseおよびNational HIV Surveillance Systemの四半期データを分析した。HIV検査数およびPrEP処方例数はCOVID-19パンデミック初期に減少したが、2020年半ばには回復しはじめた。2020年の検査数は第1四半期(Q1)の2,471,614件から第2四半期(Q2)には1,682,578件に32%減少したが、第3四半期(Q3)は2,325,554件に増加し、ポアソン回帰モデルを用いて計算した2019年~2021年の推定四半期変化率(EQPC)は0.33%であった。2020年のPrEP処方例数はQ1の190,955例からQ2には179,280例に6%減少したが、Q3には184,320例に増加した(2019年~2021年のEQPCは3.45%)。2020年のHIV診断数はQ1の8,438例からQ2には6,228例に6%減少したが、Q3には7,905例と増加した(2019年~2021年のEQPCは-3.99%)。HIV感染症と診断され、HIV治療を受けた人の割合は、2019年から2020年にて88.0%~89.4%と変化はなかった(2019年~2021年のEQPCは0.24%)。2020年に実施されたウイルス量検査はQ1の259,026件からQ2には206,586件と20%減少したが、Q3には252,643件と増加した(2019年~2021年のEQPCは0.45%)。抗レトロウイルス療法が処方された人数に変化はなく(2019年~2021年のEQPCは0.24%)、同様にウイルス量抑制を示す検査の割合も86.7%~89.0%と変動は認めなかった(2019年~2021年のEQPCは0.26%)。2020年の年齢別でのHIV検査数は、35歳以上にてQ1の1,076,548件からQ2には660,593件と最も大きく減少し(39%)、15~24歳におけるPrEP処方数は同時期にて17,909件から16,316件と9%減少した。また、すべての人種/民族、HIV感染区分にて、2020年のHIV感染症の診断数がQ1からQ2にかけて減少し[-21.1%(白人)~-29.4%(その他人種)、-25.7%(男性同性間性的接触者、女性異性間性的接触者)~-29.0%男性異性間性的接触者)]、Q3に一部増加した。以上、公衆衛生上の緊急事態下では、従来の方法とは異なる刷新的な方法でのHIV検査やPrEP処方などの医療サービス提供が必要である。
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