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ホームIMICライブラリMMWR抄訳2022年(Vol.71)定期ワクチン接種率 ― 全世界、2021年

MMWR抄訳

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2022/11/04Vol. 71 / No. 44

MMWR71(44):1396-1400
Routine Vaccination Coverage — Worldwide, 2021

定期ワクチン接種率 ― 全世界、2021年

2020年、世界保健総会はワクチンにて予防可能な疾患の疾病率および死亡率の低下を目的とした世界の予防接種戦略であるImmunization Agenda 2030を承認した。今回、2020年の報告書を更新し、2021年における全世界、地域、国別でのワクチン接種率の推定値と傾向を示す。WHOとユニセフの推計によるジフテリア・破傷風・百日咳混合ワクチン(DTPcv)初回接種率は、全世界では2019年の90%から、2020年には87%、2021年には86%と低下し、2005年以降では最低値となった。WHO地域別での2021年のDTPcv初回接種率は80%(アフリカ地域)~97%(ヨーロッパ地域)であり、DTPcv 3回目接種率も同様の地域傾向を示した。2019年から2021年にかけたDTPcvの初回および3回目接種率は、南東アジア地域にてもっとも低下し(初回接種:94%から86%、3回目接種:91%から82%)、アメリカ地域ではそれぞれ3ポイント、4ポイントの低下であった。WHO加盟国194カ国のうち、2019年から2021年にかけたDTPcv初回接種率は170カ国(88%)にて横ばいまたは低下、3回目接種率は167カ国(86%)にて横ばいまたは低下した。DTPcv 3回接種シリーズを完了していない小児は、2021年では2,500万人と推定され、2020年(2,290万人)から210万人、2019年(1,910万人)からは590万人に増加した。2021年のDTPcv未接種小児は1,820万人(73%)であり、うち500万人(27%)は低所得国、1,280万人(70%)は中所得国であった。国別ではインド(270万人)、ナイジェリア(220万人)、インドネシア(110万人)、エチオピア(110万人)、フィリピン(100万人)、コンゴ民主共和国(73万人)、ブラジル(71万人)、パキスタン(61万人)、アンゴラ(55万人)、ミャンマー(49万人)の10カ国にて未接種小児の62%(1,140万人)を占め、約1,200万人(69%)がGaviワクチンアライアンス対象国の小児であった。麻疹含有ワクチン(MCV)初回接種率は、2015年~2019年では85%~86%にて安定していたが、2020年には83%、2021年は81%に低下し、南東アジア地域(94%から86%)、西太平洋地域(95%から91%)にて大きく低下していた。MCV 2回接種率は、2015年から2019年にかけて63%から71%に上昇したが、その後は2020年が72%、2021年が71%と横ばいになった。その他の小児期に推奨されるワクチンの接種率は2019年から2021年にかけてすべて低下し、BCGが88%から84%、Hibが73%から71%、風疹含有ワクチンが69%から66%、B型肝炎ワクチン(HepB)3回接種:85%から80%、HepB出生時接種が44%から42%、ポリオワクチン3回接種が86%から80%となった。女性のHPVワクチン初回接種率は20%から15%、最終接種完了率は14%から12%に低下した。肺炎球菌結合型ワクチン3回接種率は横ばいであり(2019年50%、2020年51%、2021年51%)、ロタウイルスワクチン最終接種完了率は2019年の40%から2021年には49%に上昇した。以上、COVID-19パンデミックにより、世界中の定期予防接種が途絶した。予防接種プログラムの完全な回復は、キャッチアップ接種を逃した小児の予防接種ギャップへの対応、エッセンシャル医療サービスの優先、アウトブレイクを予防する予防接種プログラムの強化などの固有の状況に対する戦略が必要である。

References

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