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ホームIMICライブラリMMWR抄訳2022年(Vol.71)眼のサル痘 ― アメリカ、2022年7~9月

MMWR抄訳

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2022/10/21Vol. 71 / No. 42

MMWR71(42):1343-1347
Ocular Monkeypox — United States, July–September 2022

眼のサル痘 ― アメリカ、2022年7~9月

2022年10月11日時点で、アメリカでは計26,577例のサル痘患者が報告されている。眼のサル痘はサル痘ウイルス(MPXV)が目に侵入した場合に発症することがあり、結膜炎、眼瞼炎、角膜炎、失明を引き起こす可能性がある。今回、2022年7~9月、眼にサル痘を発症した5例について述べる。患者Aは20代、男性。HIVに感染しているが、抗レトロウイルス療法(ART)は受けていなかった。2022年8月、臀部、胸部、腕、手にサル痘のものと合致する発疹を認め、クリニックを受診した。胸部病変から採取したスワブ検体はPCR検査でオルソポックスウイルス(OPXV)陰性であった。10日後、発疹の悪化と左眼の痛み、痒み、腫れ、目やに、異物感、光過敏、視力の変化のため再受診した。発疹から検体が採取され、眼科を紹介された。7日後、検体のPCR検査にてOPXV陽性となり、tecovirimatの経口投与を開始した。2日後、眼症状が悪化したため入院となった。tecovirimat静注、トリフルリジン点眼およびARTを開始したところ、眼症状は改善し、5日後に退院となった。4週間後、新たな顔面病変と左眼視力低下を呈し、再入院となり、処方薬のアドヒアランス不良が疑われた。左眼の結膜炎、角膜炎、結膜潰瘍を認め、結膜病変の検体はOPXV陽性であった。tecovirimat静注を再開し、トリフルリジンとポビドンヨードを局所投与した。tecovirimat静注14日目では、左眼の痛み、炎症、光過敏は増悪と寛解を繰り返し、視力は20/800の高度視覚障害であった。その後の予後は不明である。患者Bは30代、男性。HIVに感染しているがARTは受けていなかった。2022年7月、胸部、下肢、肛門周囲、右目に近い鼻梁を含む顔面に発疹を認め、救急外来を受診した。顔面および頭皮病変のスワブ検体がPCR検査にてOPXV陽性となり、検査から9日目、ARTと経口tecovirimat(14日間)が処方され、発疹が消え始めたが、tecovirimat終了から2週間後に顔面病変が悪化と新規出現を認めた。鼻の病変は右内眼角、結膜へと拡大し、右眼の充血、痛み、痒み、光過敏症を来し、入院となった。tecovirimat静注を10日間、右目にトリフルリジン点眼を5日間と抗菌点眼薬を投与し、眼病変の軽減と結膜炎の改善を認め、入院10日後に退院となった。患者Cは30代、男性。2022年8月に直腸痛と肛門周囲病変を発症し、3日後に救急外来を受診した。それぞれの病変のスワブ検体がPCR検査にてOPXV陽性となり、経口tecovirimatが処方された。2日後、右眼の痛み、充血、目やにのため再受診したところ、右眼の結膜炎を認め、その後、両眼の結膜炎となった。肛門周囲病変が消失した後も両眼の結膜炎が3週間持続したため、tecovirimatが投与され、1カ月後に症状が消失した。患者Dは30代、男性。2022年8月、股間に発疹を認め、1週間後、右眼の充血、痛み、眼瞼腫脹のため救急科を受診した。陰茎、腹部、手首に病変を認め、OPXV検査のため病変部の検体が採取され、淋病とクラミジア経験的治療が行われた。眼の症状は細菌性眼窩隔膜前蜂巣炎とみなされ、抗生物質内服にて帰宅した。2日後、右眼瞼病変、眼窩周囲腫脹、眼の痛みのため入院となった。経口tecovirimatが開始され、その後、皮膚、眼病変の検体はすべてPCR検査でOPXV陽性と判明し、トリフルリジンの5日間局所投与、右眼の抗菌薬点眼、蜂巣炎に対する抗生物質点滴により臨床的改善を認め、入院5日目に退院となり、経口tecovirimatの14日間投与を完了した。患者Eは30代、女性。2022年7月、膣内陰唇に膿疱性病変を認め受診した。病変部の検体はPCR検査でOPXV陽性であった。発症から1週間で病変は背中、臀部、顎、額、左下眼瞼に拡大し、左眼に痛みと充血を呈し入院となった。左眼の結膜炎、眼球結膜病変、結膜下結節を認めた。Tecovirimatもトリフルリジンもすぐに用意できなかったため、ナプロキセンで治療した。眼症状は改善し、経口tecovirimatを14日間とトリフルリジンの5日間局所投与で3日後に退院した。

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