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ホームIMICライブラリMMWR抄訳2022年(Vol.71)乳児におけるサル痘 ― フロリダ州、2022年

MMWR抄訳

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2022/09/23Vol. 71 / No. 38

MMWR71(38):1220-1221
Monkeypox in a Young Infant — Florida, 2022

乳児におけるサル痘 ― フロリダ州、2022年

2022年8月、フロリダ州保健局(FDOH)は発疹と蜂窩織炎のためフロリダの病院に入院した2カ月齢未満の乳児にサル痘が疑われるとの報告を受けた。この乳児は5日前より腕、足、体幹に隆起した紅斑性発疹を認め、救急科を受診した。発疹のスワブ検体の細菌培養検査は陰性であり、水痘、単純ヘルペスウイルス、HIVの検査も陰性であった。2日後の再診時には発疹が進行し、全身に多数のびまん性に散在した水疱膿疱性病変を認めた。幼児は入院となり、伝染性軟属腫と診断され、二次性細菌性蜂巣炎に対し抗生物質の静注を開始された。その後、病変は背部、足底、顔面、眼瞼に広がり、入院から数日で膿疱化した。発疹発症から10日後、額と背中の病変のスワブ検体のPCR検査にてオルソポックスウイルスDNAとCladeⅡサル痘ウイルスDNAが陽性となった。FDOHと病院の臨床医は治療選択肢についてCDCに相談し、経口tecovirimatとワクシニア免疫グロブリン静注にて幼児を治療し、眼瞼病変による眼科合併症予防のためトリフルリジン点眼薬を投与した。治療は忍容性良好で幼児は完全に回復した。この乳児は家庭内にて4名の保育者に世話されており、保育者の1名(保育者B)が乳児の発症前の2カ月間にサル痘曝露の危険性の高い行動をとっており、幼児発症前の3週間の間に血尿、発熱に続き発疹を来し、幼児の発症1日前に他州へ転居し、医療機関を受診し、乳児が陽性となった2日後、オルソポックスウイルスDNA検査陽性と判明した。乳児は発疹発症前の6週間にこの保育者と毎日濃厚接触しており、ベッドのシーツおよび枕カバーの共用、日常の世話による肌と肌の接触が感染経路と考えられた。他の3名の保育者はJYNNEOSワクチンによる曝露後予防を受け、乳児の発症から22日後も無症状のままであった。アメリカでは2022年のアウトブレイクにて0~15歳の小児サル痘確診例が27例報告されている。小児におけるサル痘の臨床像は成人と同様であるが、小児は重症化リスクが高い。膿疱性または水疱性の発疹を来した小児の鑑別診断として、臨床医はサル痘感染を考慮し、特に小児がサル痘診断の疫学的曝露基準を満たす場合は家庭内感染の可能性に注意すべきである。

References

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  • CDC. Monkeypox. Monitoring and risk assessment for persons exposed in the community. Atlanta, GA: US Department of Health and Human Services, CDC; 2022. Accessed September 9, 2022. <https://www.cdc.gov/poxvirus/monkeypox/clinicians/monitoring.html>
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