ホームIMICライブラリMMWR抄訳2022年(Vol.71)検査にて確定診断されたサル痘患者に続いての医療従事・・・
MMWR抄訳
2022/09/23Vol. 71 / No. 38
MMWR71(38):1216-1219
Health Care Personnel Exposures to Subsequently Laboratory-Confirmed Monkeypox Patients — Colorado, 2022
検査にて確定診断されたサル痘患者に続いての医療従事者への曝露 ― コロラド州、2022年
症状のある患者を治療する医療従事者(HCP)へのサル痘感染リスクは低いと考えられているが、世界中のアウトブレイクとういう状況下では、十分な評価はされない。サル痘は通常、サル痘感染者の病変、かさぶた、体液、呼吸器分泌物との密接な物理的接触(大抵は皮膚と皮膚との接触)により感染する。CDCはHCPに対し、サル痘が疑われる患者を治療する際にはガウン、手袋、眼の防護具、N95(またはより高性能の)マスクを着用し、感染を予防するよう推奨している。今回、コロラド州公衆衛生環境局(CDPHE)により医療現場にて後にサル痘と診断された患者を治療したHCPにおける個人防護具(PPE)使用の評価が行われた。CDPHEは2022年5月1日~7月31日にサル痘と診断された患者55例に治療、6フィート以内に接近、リネン類の取り扱いにより曝露した臨床HCPおよび非臨床HCP計313名のデータを収集した。各HCPから収集した曝露の詳細データ(着用したPPE、関わり方、患者と一緒にいた時間など)により、リスクレベル別に高リスク20名、中リスク67名、低リスク/不明226名に分類した。7名のHCPはエアロゾルが発生する処置中に曝露し、うち3名はN95マスクを着用していた。全体で273名(87%)がサル痘の発疹または病変を発症している患者に曝露し、161名(59%)が患者の皮膚や病変に直接接触していた(手袋着用125名、未着用30名、不明6名)。リネンの取り扱いで曝露したHCPは26名(8%)であり、そのうち23名(88%)は手袋を着用していた。また、サル痘患者との接触時間は215名(69%)が5~30分であり、1名だけが3時間を越えており、このHCPはN95マスクと他の推奨されるすべてのPPEを接触時間中に着用していた。313名中118名(38%)がサル痘患者の治療または対応中にN95マスク着用しており、着用率は地域医療/STIクリニックが64%、病院/救急外来が50%、プライマリケア/緊急診療が12%であった。サル痘患者と接している時に推奨されるすべてのPPEを着用していたHCPの割合は23%(72名)であり、地域医療/STIクリニックが48%、プライマリケア/緊急診療が4%であった。臨床HCPは非臨床HCPに比べPPE着用率が高く、医療機関、看護師は推奨事項のコンプライアンス率がもっとも高かった。JYNNEOSワクチンによる曝露後予防(PEP)は中リスクおよび高リスクHCPの87名(28%)が対象となり、高リスク10名(50%)と中リスク27名(40%)が接種した。21日間のモニタリング期間にて313名中7名のHCPが症状を認め(発疹/病変3名、その他の症状4名)、発疹/病変を認めた3名のうち2名がPCR検査を受け陰性であった。1名の発疹は薬剤性反応と診断された。これらの結果から、医療現場におけるサル痘の感染リスクは低いことが示された。
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