ホームIMICライブラリMMWR抄訳2022年(Vol.71)サル痘ウイルス感染者の家庭における高接触物および表・・・
2022/08/26Vol. 71 / No. 34
MMWR71(34):1092-1094
High-Contact Object and Surface Contamination in a Household of Persons with Monkeypox Virus Infection — Utah, June 2022
2022年5月、ユタ州ソルトレイク郡の保健所はPCR検査で確認された渡航関連サル痘の2症例についてユタ州のDepartment of Health and Human Services(UDHHS)に報告した。このサル痘の2例(患者A、患者B)は同居しており、他に同居人はいなかった。両例とも前駆症状があり(疲労、体の痛みなど)、発症から8日後、患者Aの陰茎に病変が出現し、10日後には口唇、手、足、胸、頭皮へと広がった。患者Bは患者Aの発症から8日後に前駆症状が現れ、11日後には脚と手指に病変が広がった。2例とも軽症であり、発症から治癒までの期間は患者Aが約30日、Bが約22日であった。UDHHSはサル痘患者が接触した家庭用品の表面汚染の有無と度合いを評価するため、患者宅にて検体を拭き取り採取した。検体採取前に患者は自宅にて20日間隔離されており、採取時にはまだ症状があった。隔離期間中の自宅の室温は20.6℃~23.9℃であった。UDHHSの職員は入室時に推奨された個人用防護具を着用し、9カ所にある30個の物体から環境検体を採取した。検体は州の公衆衛生研究所からCDCに送付され、非天然痘オルソポックスウイルスおよび西アフリカサル痘ウイルスのリアルタイムPCR検査が行われた。その結果、30検体のうち21検体(70%)が検査陽性であり、多孔質な表面の物体(布製の家具、毛布など)は3検体すべてが陽性、無孔質な表面の物体(ハンドル、スイッチなど)は25検体中17検体(68%)、混合タイプの表面の物体(椅子など)は2検体中1検体が陽性であった。ウイルス培養検査では陽性はなかった。隔離期間中、患者は毎日1~2回のシャワー、毎日約10回の手指消毒、週1回の寝具および衣服の洗濯、定期的な掃除(モップがけ、高頻度接触表面へのスプレー消毒使用など)を行っており、ウイルスの生存能力は時間の経過、化学的、環境的不活性化により低下した可能性がある。サル痘ウイルスは主に患者の発疹、かさぶた、病変、体液、呼吸器分泌物との接触、多くは皮膚と皮膚の接触により拡大するため、患者と同居、または患者の自宅を訪問する際はマスクを着用し、汚染された可能性のある表面への接触を避け、手指衛生を保ち、食器、衣類、寝具、タオル共用を避ける、家の消毒などの適切な予防措置を行うべきである。
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