ホームIMICライブラリMMWR抄訳2022年(Vol.71)サル痘症例の疫学的および臨床的な特徴 ― アメリカ・・・
MMWR抄訳
2022/08/12Vol. 71 / No. 32
MMWR71(32):1018-1022
Epidemiologic and Clinical Characteristics of Monkeypox Cases — United States, May 17–July 22, 2022
サル痘症例の疫学的および臨床的な特徴 ― アメリカ、2022年5月17日~7月22日
2022年8月4日、アメリカ保健社会福祉省は5月17日に始まったアメリカでのサル痘アウトブレイクを公衆衛生緊急事態と宣言し、CDCと保健所によるサル痘患者の発見と報告が強化された。2022年6月3日にCDCは保健所に対し、サル痘症例報告書の様式を発表し、収集されるデータには、発症前3週間における曝露の可能性、症状、皮膚および粘膜における発疹の分布などが含まれた。2022年5月17日~7月22日にアメリカ43州、プエルトリコ、ワシントンDCから計2,891例が報告され、そのうち1,195例(41%)を今回の報告に含めた。年齢中央値は35歳、ほとんど(99%)が男性(シスジェンダーおよびトランスジェンダー)であり、人種/民族について報告された1,054例では、非ヒスパニック系白人(白人)が41%、ヒスパニック系/ラテン系(ヒスパニック系)が28%、非ヒスパニック系黒人/アフリカ系アメリカ人(黒人)が26%であり、黒人の割合は5月17日~7月2日にて12%(29/248例)、7月3日~22日には31%増加し(247/806例)、ヒスパニック系の割合は33%(82/248例)から27%(214/806例)に、白人の割合は49%(121/248例)から27%(307/806例)に減少した。旅行関連感染例または国内感染例として分類された241例(20%)のうち178例(74%)が国内感染例であり、その割合は5月17日~7月2日にて51%(33/65例)、7月3日~22日にて82%(145/175例)に増加した。最近の性行動とそのパートナーに関する情報が得られた男性358例(30%)では、337例(94%)に発症前3週間以内に性交渉または親密な接触があった。291例に男性パートナーがいて、パートナーの数は1人が80例(27%)、2~4人が113例(40%)、5~9人が42例(14%)、10人以上が56例(19%)であった。また、33例が集団での性交渉に参加していた。多く報告された徴候および症状は発疹(100%)、発熱(63%)、悪寒(59%)、リンパ節腫脹(59%)などであり、直腸症状として膿便/血便(21%)、直腸痛(22%)、直腸出血(10%)が報告された。初発症状に関する情報は291例で明らかであり、前駆症状は58%にあり、発疹から始まっていた。発疹の発現部位について報告した718例における発疹発現部位は性器(46%)、腕(40%)、顔(38%)、脚(37%)に多く、238例(33%)は1部位、126例(18%)は2部位、98例(14%)が3部位、256例(36%)は4部位以上に発現した。HIV感染の有無は334例にて明らかであり、136例(41%)がHIV感染例であった。入院に関する情報は954例にて明らかであり、77例(8%)が疾患のため入院していた。死亡例は報告されなかった。ワクチン接種状況は339例にて明らかであり、48例(14%)は天然痘ワクチンの接種歴があり、今回のアウトブレイク中にJYNNEOS 2回接種のうち1回接種をしたのが11例(23%)、アウトブレイク前に曝露前予防接種をしたのが11例(23%)、いつワクチン接種をしたのか不明なのが26例(54%)であった。これまでのほとんどの症例がゲイ、バイセクシュアル、男性同性間性的接触者であるが、性別や性自認に関係なくサル痘と合致する発疹を来したすべての症例に対し検査を考慮すべきである。
References
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