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MMWR抄訳

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2022/08/05Vol. 71 / No. 31

MMWR71(31):981-987
Outbreaks of Acute Gastrointestinal Illness Associated with a Splash Pad in a Wildlife Park — Kansas, June 2021

野生動物公園のスプラッシュパッドに関連した急性胃腸疾患のアウトブレイク ― カンザス州、2021年6月

2021年6月に、カンザス州および郡の公衆衛生当局は野生動物公園の来園に関連した細菌性赤痢[Shigella(赤痢菌)による細菌性下痢症]の3例を特定し、調査した。公園には動物の展示とスプラッシュパッドが設けられており、動物展示場を訪れたのは2例で、3例全員がスプラッシュパッドに入っていた。ヒト以外の霊長類は、唯一知られている赤痢菌保有動物である。スプラッシュパッドは利用者に水を噴霧し、利用者エリアに水が溜まらないように設計された施設で、6月19日に閉鎖された。州および郡の公衆衛生基準には、スプラッシュパッドに関する規制は含まれていない。したがって、これらの場所は通常は検査されず、環境衛生の専門知識も限られている。カンザス州では細菌性赤痢は報告義務があり、患者は標準的な症例調査フォームを使用した問診を受ける。最初の調査では、6月11日にスプラッシュパッドに入った8例の細菌性赤痢患者が特定され、全例で12~73時間後に徴候および症状が認められた。8例のうち2例は、糞便培養でShigella flexneri 1型陽性であった。残りの6例は、マルチプレックスPCRを使用した糞便検査で、赤痢菌/腸管侵入性大腸菌の検出検査(ipaH遺伝子)が陽性であった。カンザス州のDepartment of Health and Environmentと野生動物公園は、プレスリリースとFacebookの投稿を通じて、シーズンの開園日(5月28日)~6月19日の期間に公園に来園した利用客に、7月12日~8月4日のオンラインでのアウトブレイクアンケートに自発的に回答するよう奨励した。調査対象期間中に公園に来園した404名の回答者のデータ分析により、2つの異なるアウトブレイクが特定された。6月11日に来園した72名の回答者のうち21名(29%)が細菌性赤痢の症例定義(野生動物公園に来園後12~73時間に発症し、24時間に3回以上の軟便)を満たす病状があった。細菌性赤痢症例群および対照群(来園後に消化器症状のなかった6月11日の来園者)の年齢中央値はそれぞれ、5歳(1~15歳)および11歳(1~70歳)で、両群とも女性が多かった(それぞれ62%および67%)。スプラッシュパッドでの水遊びは疾患とは関連しなかったが、スプラッシュパッドの水を口内に入れることは疾患と関連していた。また、6月18日に野生動物公園を訪れた27名の回答者のうち、6名(22%)にノロウイルス感染症の症例定義(野生生物公園に来園後12~56時間に発症し、24時間に嘔吐または3回以上の軟便)を満たす病状があった。ノロウイルス感染症症例群と対照群(来園後に消化器症状のなかった6月18日の来園者)の年齢中央値は、それぞれ5歳(1~38歳)および20歳(3~63歳)で、両群で女性が多かった(それぞれ83%および68%)。6例全例がスプラッシュパッドの水で遊び、スプラッシュパッドの水を口内に入れており、スプラッシュパッドの水を口内に入れることは疾患と関連していた。適切な水の消毒と環境衛生の専門知識を維持し、スプラッシュパッドを利用する子供の保護者向けの予防努力に的を絞ることは、スプラッシュパッドに関連するアウトブレイクの予防に役立つ。アメリカの管轄区域が自主的にCDCのModel Aquatic Health Code推奨を採用し、予防メッセージ(「下痢を伴う病気の時はスプラッシュパッドの水に入らない」、「ジェット水流の上に立ち上ったり座ったりしない」、「スプラッシュパッドの水を飲まない」)を使用すれば、アウトブレイク発生はさらに減らせる可能性がある。

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