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MMWR抄訳

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2022/07/22Vol. 71 / No. 29

MMWR71(29):913-919
Influenza Activity and Composition of the 2022–23 Influenza Vaccine — United States, 2021–22 Season

インフルエンザ活動性と2022-2023年インフルエンザワクチン成分 ― アメリカ、2021-2022年シーズン

COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2が出現する前は、アメリカにおけるインフルエンザ活動性は通常、秋に増加し始め、2月にピークに達していた。2021-2022年シーズン中では、インフルエンザ活動性は11月に増加し始め、6月中旬まで上昇したままで、2つの異なる波を特徴とし、シーズン全体でA(H3N2)ウイルスが優勢であった。インフルエンザの臨床検体検査陽性は、アメリカ保健福祉省(HHS)の全10地域中9カ所にて第1波のピークは2021年12月中旬、第2波のピークは2022年3月中旬~5月であった。2021-2022年インフルエンザシーズン中に、4件の新規A型インフルエンザウイルスがヒトで検出された。3件(ヒトで確認された豚インフルエンザウイルスなどを「v」と表記した)は変異株であり、1件はカリフォルニア州にてA(H1N2)v、1件はオハイオ州にてA(H3N2)v、1件はオクラホマ州にてA(H1)vであった。1件は鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスであり、高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)に感染した鳥に曝露したコロラド州のヒトで確認され、アメリカにおけるヒトでの鳥インフルエンザA(H5)ウイルスの初めての陽性結果であった。2022-2023年のインフルエンザのワクチン株は、WHOが推奨する北半球の2022-2023年インフルエンザワクチン成分に基づき、FDAのVaccines and Related Biologic Products Advisory Committeeにより選択された。A(H1N1)pdm09またはB/Yamagataに卵ベース、細胞ベース、推奨された組換えワクチン成分で変更はなかった。A(H3N2)の成分は、卵ベースのワクチンではA/Darwin/9/2021(H3N2)様ウイルス、細胞ベースまたは組換え用ワクチンではA/Darwin/6/2021(H3N2)様ウイルスに変更された。B/Victoriaの成分は、B/Austria/1359417/2021様ウイルスに変更された。アメリカのOutpatient Influenza-like Illness Surveillance Networkに記録されたインフルエンザ様疾患(ILI)による外来受診の週ごとの割合は、12月~1月の8週間連続で全国のベースライン(2.5%)を上回り、2022年1月1日で終わる週にピークに達し(4.8%)、このピークはオミクロン変異株関連SARS-CoV-2の活動性上昇と一致した。ILI活動性は2月中旬~5月中旬にかけて再び増加したが、ベースラインを下回っていた。2021年10月1日~2022年6月11日では、合計5,079件の検査で確定診断されたインフルエンザ関連の入院がInfluenza Hospitalization Surveillance Network(FluSurv-NET)サイトを介して報告された。活動性は2つの波で発生し最初のピークは2022年1月1日で終わる週(week52)、2回目のピークは2022年4月30日に終わる週(week17)であり、人口10万人あたりの入院率はそれぞれ0.9人、1.2人であった。2021~2022年に報告された肺炎、インフルエンザ、COVID-19のいずれかによる387,112人の死亡のうち、死亡診断書に死亡の根本死因または死因に寄与した原因として記載されたのは、COVID-19が計277,350人(71.6%)、インフルエンザが系2,493人(0.6%)であった。インフルエンザ活動性はタイミングおよび期間が非定型的であるため、医療従事者と患者は呼吸器疾患の原因としてインフルエンザ感染を考慮する必要がある。季節性インフルエンザの検査と新規ウイルス、特に鳥インフルエンザA(H5N1)および豚インフルエンザウイルスのモニタリングは年間を通して継続すべきである。季節性インフルエンザワクチンを毎年接種することは、季節性インフルエンザとその重症転帰の可能性に対する予防としていまだ最良の方法である。

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