ホームIMICライブラリMMWR抄訳2022年(Vol.71)猛暑への曝露:クーリングセンターへのアクセスと障壁・・・
MMWR抄訳
2022/06/17Vol. 71 / No. 24
MMWR71(24):781-785
Extreme Heat Exposure: Access and Barriers to Cooling Centers — Maricopa and Yuma Counties, Arizona, 2010–2020
猛暑への曝露:クーリングセンターへのアクセスと障壁 ― アリゾナ州マリコパ郡およびユマ郡、2010年~2020年
猛暑への曝露は熱中症(HRI)や死亡のリスクを高めるため、気候温暖化ではHRIを予防する包括的な戦略が重要となっている。アメリカでの年間HRI関連死亡者は推定702名、HRI関連救急外来受診者は67,512名であり、2020年、アリゾナ州フェニックスでは気温37.8℃を超える日が145日、同州ユマ郡では148日あり、州のHRI関連死亡者は522名であった。マリコパ郡およびユマ郡では高齢者などリスクのある人のHRIを低減するため、猛暑時に休息と安全を提供する場として設計された冷房の効いた建物であるクーリングセンターを設置している。今回、2010年~2020年のマリコパ郡およびユマ郡における年齢別のHRIの傾向と2018年~2019年のユマ郡におけるクーリングセンターの可用性および利用状況に関連する高齢者の調査データについて分析した。2010年から2020年にかけて猛暑の警報が出された日数は、マリコパ郡では平均1.18日/年、ユマ郡では平均1.71日/年、増加した。両郡の65歳以上の高齢者のHRI関連入院リスクは65歳未満の人に比べ高く、65歳以上と65歳未満で比較した入院率比はマリコパ郡にて2.31(1.83~2.97)、ユマ郡では2.72(1.46~4.02)であった。65歳未満の成人における人口10万人あたりのHRI関連入院率はマリコパ郡にて平均0.36/年、ユマ郡では平均0.27/年の増加であり、65歳以上ではそれぞれ0.26、0.76であった。2019年から2020年にかけてのHRI関連入院率は、マリコパ郡では65歳以上では18.56から21.04、65歳未満では8.15から11.52に増加し、ユマ郡ではそれぞれ30.11から23.00、7.50から6.32に減少した。ユマ郡の65歳以上の39名(男性36%、白人69%)を対象とした調査では、全体で26%が猛暑日に健康の危険を感じ、15%が常時/時々、自宅にて暑すぎると感じていた。また、44%が過去1年間に暑さに関連した症状を経験していた。家でのエアコンの利用について、18%は電気代がかかるため、常時/時々、使用できないと回答し、エアコン使用制限の要因として、機器が動作しない、修理費用、操作がわからないなどが報告されている。クーリングセンターについては54%が知っていると回答し、36%が自分の地域のクーリングセンターの場所を知っていると回答した。クーリングセンター利用制限の因子として交通手段、ペットを連れていけないなどが挙げられ、冷房を求める場所として、図書館、レストラン、友人や家族の家など別の選択肢も挙げられた。ユマ郡では、2019年はクーリングセンターの60.0%、2020年では83.3%が社会的脆弱性の高い地域にあった。
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