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MMWR抄訳

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2022/02/25Vol. 71 / No. 8

MMWR71(8):306-312
Changes in Suicide Rates — United States, 2019 and 2020

自殺率の変化 ― アメリカ、2019年および2020年

2020年、自殺はアメリカにおける10~64歳の死因の10位以内であり、10~14歳および25~34歳では第2位であった。1999年~2020年にアメリカでは84万人近い命が自殺で失われ、全体の自殺率は2018年にピークとなり、2019年、2020年には減少したが、社会的孤立、経済の衰退、家庭内ストレス、メンタルヘルス症状の悪化や新規発症、COVID-19パンデミックに関連した職場や学校での混乱などの要因により、アメリカでの自殺リスクへの懸念は高まっている。今回、自殺率の変化について理解するため、2019年および2020年におけるアメリカのNational Vital Statistics Systemの複数の死因による死亡率ファイルの死亡診断書データを分析し、全体および人種/民族、年齢、障害機序、都市化レベル、性別、州別に自殺率の変化を調査した。2020年の自殺による死亡者は45,979名であり、2019年の47,511名から1,532名減少し、全体の自殺率は3.0%低下した(人口10万人あたり2019年の13.9から2020年には13.5へ減少)。人種/民族別では、2020年の自殺率は非ヒスパニック系アメリカンインディアン/アラスカ先住民(10万人あたり23.9)、非ヒスパニック系白人(白人、10万人あたり16.9)、非ヒスパニック系ハワイ原住民/太平洋諸島(10万人あたり12.5)にて高く、2019年に比べ白人では4.5%減少したが、その他は大きな変化はなかった。年齢別では85歳以上にて最も高く(10万人あたり20.9)、75~84歳および25~34歳が続いた(ともに10万人あたり18.4)。都市化レベルと自殺率は逆相関を示し、大都市圏中央部(10万人あたり10.5)にて最も低く、非中核非都市部(10万人あたり20.6)にて最も高かった。2019年に比べ大都市圏中央部および大都市圏周縁部ではそれぞれ6.1%、4.6%減少した。自殺の方法は約半数が銃による自殺であり(24,292名、53%)、2019年と大きく変わらなかったが、転落、毒物、窒息による自殺者はそれぞれ100名以上、約600名、1,000名以上減少した。性別では男性が約3/4を占め(36,551名、79%)、男性の自殺率は2019年22.4から2020年22.0へ1.9%減少、白人男性にて3.1%減少し、ヒスパニック系男性では5.7%増加していた。また、85歳以上の男性では自殺率が最も高く(10万人あたり52.0)、2019年に比べ25~34歳男性では5.0%増加、45~54、55~64、65~74歳ではそれぞれ4.7%、11.9%、6.7%減少した。女性の自殺率は2019年6.0から2020年5.5へ8.0%減少、白人女性は9.9%減少したが、非ヒスパニック系多民族女性では29.2%増加していた。また、45~54歳にて最も高く(10万人あたり8.5)、2019年に比べ35~44歳、45~54歳、55~64歳にてそれぞれ7.9%、18.5%、16.7%減少した。すべての人種/民族、年齢層にて女性より男性の自殺率が高かった。州別では2019年に比べ7州(カリフォルニア州、コネチカット州、フロリダ州、ニュージャージー州、オハイオ州、オレゴン州、ペンシルベニア州)にて大きく減少した。2020年の自殺率は9州にて20を超え、ワイオミング州にて最も高かった(10万人あたり30.5)。2025年までに自殺率を20%減少する国の目標を達成するには、これらのデータを利用したエビデンスに基づき、自殺予防の包括的アプローチが必要である。

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