ホームIMICライブラリMMWR抄訳2022年(Vol.71)SARS-CoV-2感染後から30日を超えて経過し・・・
2022/01/14Vol. 71 / No. 2
MMWR71(2):59-65
Risk for Newly Diagnosed Diabetes >30 Days After SARS-CoV-2 Infection Among Persons Aged <18 Years — United States, March 1, 2020–June 28, 2021
COVID-19パンデミックは糖尿病の人に偏った影響を及ぼし、糖尿病の人ではCOVID重症化リスクが高くなる。また、ヨーロッパでは、COVID-19パンデミック中に小児における1型糖尿病の診断数が増加し、糖尿病診断時における糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の頻度および重症度が上昇したと報告されている。今回、CDCはCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の急性感染から30日を経過後における新規診断糖尿病リスクを評価するため、CDCはアメリカの2つの医療保険請求データ(IQVIAおよびHealthVerity)の2020年3月1日~2021年2月26日のデータを使用し、COVID-19と診断された18歳未満の患者における糖尿病発症率を推算するレトロスペクティブコホート研究を行い、パンデミック中にCOVID-19の診断を受けていない小児およびパンデミック前に非COVID-19急性気管支感染症(ARI)と診断された小児における発症率と比較した。IQVIAのデータベースでは、2020年3月1日~2021年2月26日にCOVID-19と診断された症例(ICD-10-CMコードB97.29またはU07.1)をCOVID-19と定義した。COVID-19患者をパンデミック期、年齢および性別でマッチさせた前パンデミック期の対照群と比較した。HealthVerityでは、2020年3月1日~2021年2月26日に18歳未満でICD-10-CMの診断コードでCOVID-19、またはPCR検査でSARS-CoV-2陽性の症例をCOVID-19群とした。IQVIAデータベースの糖尿病新規診断例は全体の1,698,753例[女児850,857例(50.1%)、平均12.4±4.3歳]のうち937例(0.06%)、COVID症例群80,893例[女児40,517例(50.1%)、平均12.4±4.3歳]のうち68例(0.08%)、非COVID-19群404,465例[女児202,585例(50.1%)、平均12.3±4.3歳]にて132例(0.03%)であった。HealthVerityデータベースの糖尿病新規診断例は全体の878,878例[女児440,024例(50.1%)、平均12.7±3.8歳]のうち1,973例(0.22%)、COVID-19症例群439,439例[女児220,012例(50.1%)、平均12.7±3.8歳]にて1,120例(0.25%)、非COVID-19群439,439例[女児220,012例(50.1%)、平均12.7±3.8歳]では853例(0.19%)であった。COVID-19症例群の糖尿病新規診断例におけるDKA発症率はIQVIAにて48.5%(33/68例)、HealthVerityでは40.2%(450/1,120例)であり、非COVID-19群に比べ高値であった(IQVIA:13.6%、HealthVerity:29.7%)。IQVIAにおける糖尿病罹患率はCOVID-19症例群が100,000人年あたり316例、非COVID-19群が同118例と166%リスクが高く、ARI群(同126例)より116%高かった。HealthVerityでは、COVID-19症例群が399例/100,000人年、非COVID-19群が304例/100,000人年と31%高かった。以上、COVID-19に罹患した18歳未満では糖尿病のリスクが高く、ワクチン接種を含むCOVID-19予防戦略の強調が示唆された。
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