ホームIMICライブラリMMWR抄訳2021年(Vol.70)SARS-CoV-2 B.1.1.529(オミクロ・・・
2021/12/31Vol. 70 / No. 51-52
MMWR70(51-52):1782-1784
Investigation of a SARS-CoV-2 B.1.1.529 (Omicron) Variant Cluster — Nebraska, November–December 2021
2021年11月11日にボツワナ、11月14日に南アフリカにて採取された検体から、初めてSARS-CoV-2(COVID-19の原因ウイルス)のB.1.1.529(オミクロン)変異株が検出され、アメリカでは12月1日、カリフォルニア州にて初発例が確認された。11月29日、Nebraska Department of Health and Human Servicesはナイジェリアから最近帰国した48歳男性(インデックス患者)を含む1世帯にて6名がCOVID-19の可能性が高いとの報告を受けた。渡航歴からオミクロン株への感染が疑われ、12月1日、RT-PCR検査にて6名全員がSARS-CoV-2陽性、翌日のゲノム解析によりオミクロン株が同定され、詳細な疫学調査が始められた。インデックス患者はワクチン未接種で2020年11月にアメリカ国内での症候性のSARS-CoV-2感染歴があった。11月20日、ナイジェリアで行われたアフリカの複数国が参加する国際会議に出席し、会議にてマスクを着用し咳をする人とマスクをしないで濃厚接触していた。アメリカに帰国前の抗原検査(11月21日)は陰性であり、23日に帰国し、無症状のまま家庭内で5名とマスクなしで濃厚接触していた。家庭内接触者のうち1名はワクチン完全接種者(2021年8月にPhizer社-BioNTech社製ワクチンの2回目接種)で症候性COVID-19感染歴あり(2020年11月)、3名はワクチン未接種で症候性COVID-19感染歴あり(2020年11月)、1名はワクチン未接種で2020年11月に他の家族が発症前に上気道の症状を呈していたが、この時点でのRT-PCR検査ではSARS-CoV-2陰性であった。2021年11月24日、インデックス患者はCOVID-19に一致する症状を発症し、26日、地元の医療センターにてSARS-CoV-2抗原検査陽性となった。24~26日に6名の世帯員全員(11~48歳)が発症し、インデックス患者との接触から発症までの期間は中央値73時間(33~75時間)であった。インデックス患者とCOVID-19感染歴のある4名の接触者の症状および重症度は、いずれも前回の感染時と同等または軽く、味覚消失と嗅覚喪失はなく、発熱が2名であった(前回の感染時はそれぞれ4名ずつ発現)。既往歴のない1名では咳、関節痛、鼻詰まり、発熱、悪寒を来した。この家族との地域内での接触者は12名確認され、うち4名がSARS-CoV-2検査に同意し、結果は陰性であった。今回の調査ではワクチン完全接種後の再感染例が1例、再感染例が4例、初感染例が1例であり、潜伏期間の中央値が約3日と短かった。症状が軽度であったのは、免疫獲得によるものか、オミクロン株の特徴であるかは不明であり、今後、オミクロン株の疫学的特徴を完全に解明するにはさらに多くのデータを要するであろう。
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