ホームIMICライブラリMMWR抄訳2021年(Vol.70)SARS-CoV-2 B.1.617.2(デルタ)・・・
2021/09/17Vol. 70 / No. 37
MMWR70(37):1291-1293
Interim Estimates of COVID-19 Vaccine Effectiveness Against COVID-19–Associated Emergency Department or Urgent Care Clinic Encounters and Hospitalizations Among Adults During SARS-CoV-2 B.1.617.2 (Delta) Variant Predominance — Nine States, June–August 2021
COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2のB.1.617.2(デルタ)変異株がアメリカで優勢(50%超)となった後のワクチンの有効性(VE)を評価するため、2021年6~8月、アメリカ9州の病院(187施設)、救急外来(ED)/アージェントケア(UC)クリニック(221施設)の受診者(32,867例)をVISION Networkを用いて検討した。対象は18歳以上、受診/入院前14日以内または受診/入院後72時間以内にSARS-CoV-2分子検査(RT-PCR法)を受け、COVID-19様疾患の診断を受けた症例とした。ワクチン接種状況により、完全接種[検査または受診日の14日以上前にPfizer社-BioNTech社製またはModerna社製ワクチンの2回目接種、またはJanssen社(Johnson & Johnson社)製ワクチンを単回接種]あるいは未接種(1回も接種していない)に分類し、2回接種ワクチンの1回のみ接種または2回目接種から14日以内の患者は除外した。COVID-19様疾患で入院した14,636例(年齢中央値65歳)のうち、SARS-CoV-2感染が検査で確認された症例は、ワクチン未接種者では18.9%(1,316/6,960例)、完全接種者では3.1%(235/7,676例)であった。COVID-19関連入院に対するCOVID-19ワクチンの有効性(VE)は全体で86%であり、75歳以上では18~74歳より有意に低かった(76% vs. 89%)。また、全年齢層におけるModerna社製ワクチン接種者のVE(95%)はPfizer社-BioNTech社製ワクチン(80%)、Janssen社製ワクチン(60%)の接種者よりも有意に高かった。COVID-19様疾患でED/UCを受診した18,231例(年齢中央値43歳)のうち、SARS-CoV-2感染が検査で確認された症例は、ワクチン未接種者では28.9%(3,145/10,872例)、完全接種者では7.0%(512/7,359例)であった。ED/UC受診に対するVEは82%であり、Moderna社製ワクチン接種者では92%、Pfizer社-BioNTech社製ワクチン接種者77%、Janssen社製ワクチン接種者65%であった。以上、SARS-CoV-2デルタ株優勢期間におけるVEは入院に対し86%、ED/UC受診に対し82%と高かったが、COVID-19による入院に対する75歳以上のVEは75歳未満に比べ有意に低く、SARS-CoV-2の変異、ワクチン接種後の時間経過に伴う免疫の低下、複合的な要因の関与が示唆され、さらなる検討が必要である。
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